ECサイトが「きつい」なら〜運営業務の問題点はサイト改修で解決する
2020.09.04
ECサイトの業務がきついと運営にかかわるチーム全体が思っているのであれば、改革が必要かもしれません。本来、ECサイトは実店舗などの業務を効率化した姿のはずです。それが「きつい」というイメージにつながるのであれば、何か問題がある可能性が高いということになります。
その問題は「工数の確保」「効率の課題」に要因があります。つまり、対策として人員の配置、あるいは作業の変更、システムの改変が必要になります。
ここではECサイトの業務について掘り下げて解決について考察します。
CONTENS
ECサイトに関わる業務は効率化が重要
まずその「きつさ」はEC由来かは判別しておこう
ECサイトの業務がきついかどうかについて解説していく前に考えておく必要があることがあります。仕事について「きつい」と思うかには個人差が大きくあるということを理解しなければいけません。
そのため、どのような業務であっても、個人レベルで考えると「きつい」という人もいれば、「きつくない」あるいは「楽」という人さえもいるのです。
人間の持つそれぞれの能力はもちろん、感じ方を均一化することはできません。また、単純に業務自体の難易度を比較することはそれぞれ個人の持っている能力や性格とのマッチングもあるので難しいことです。未経験の業務であれば当然、難易度は上がりますし、慣れていればそれほどでもないということもあります。
ただ、もし「きつい」という場合、「ECサイトの業務」を俯瞰して一体どういう業務なのかを考えてみる必要はどんな場合でもあります。その上でどういった部分が「きつい」のかを考えてみるのは思考法として有効な手段です。
人員的なキツさはECに限った課題ではない
そもそもの前提として、この記事では業務環境として適切ではない企業での業務の厳しさについては言及しません。恐らくそうした企業に置いてはどういった部署であっても残業について肯定的で労働環境への配慮がなく、仕事がきついでしょう。
このような場合の「きつさ」は業務の問題ではなく、企業の経営体質の問題です。もちろん一緒に働くスタッフなどでもそうした要素は変わってきますが、こうした問題は直接的にECに関連する業務の厳しさとはしっかりと線を引かなくてはいけません。
ECサイトの業務の厳しさも、もちろん労働環境や企業の体質の影響を受けます。そのため、純粋にECの「きつさ」にそれを入れると話がぶれてしまいます。
ただし、そうしたことがECサイトの成功を阻んでいることもあるかもしれません。なぜなら、本来は効率化したビジネスの形式としてECがあるからです。
効率化されている、あるいはされるべき存在のECサイトの業務で常にきつい状態ということは、ECの存在意義でもある効率化が十分になされてはいない可能性があるからです。
顧客と運営する企業がインターネットを活用して効率を求めた成果の一つとしてオンラインショップ=ECサイトがあるからです。きつい状態の解消に収益性の改善がある可能性があります。ネットでのお店であったとしても、効率化を考えなければいくらでも業務に時間がかかり、工数は増えてしまいます。
一方で人口が減少している日本の状況を考えると人材確保をいかにするのかという課題は今後大きくなってきます。インナーブランディングなどを行って人材の確保と定着率の向上を目指していく時代になってきています。
【参考】従業員が会社のブランドをつくる! 「インナーブランディング」について
EC業務の厳しさとして一般的にいわれることはこんなこと
ECはその成り立ちから、「効率を最大限に考えたビジネス形態」を目指しています。そのため、客観的にみて、筋力的、肉体的にきついということは多くの部分であてはまらないことといえます。
「きつさ」について言及する場合、よく言われるのは以下のようなことです。
- 業務の幅が広く、様々な知識や能力を求められる
- 数値化されるデータが多く、結果を求められる
- ユーザー対応の難しさがある
この3点に加えて「利益が薄い」という意見も聴かれます。まず実際にオンラインショップは同業者同士の価格を比較しやすいため価格競争にさらされやすいのは事実です。そのうえで原価を把握し、価格を決める時に経費計算をしっかりしておかなければいけません。
この「利益が薄い、少ない」という意見は私たちのようなECサイトを推進する立場としては無視もできない話です。しかし、実際のところ、扱う商品や運営方法によって大きく左右される部分でもあります。
「集客のため」と過剰に広告に予算を組み、そうした経費を回収できていなかったり、そもそも価格を決定する際に販売手数料を盛込んでいないなどの計算不足では、足もとがあまいと言わざるを得ません。
こうした価格設定については先に挙げた上記3つの問題以上に、それぞれ個別の案件として扱うべき問題です。そのため「ECサイト=儲からない」では決してありません。それぞれのショップに対して儲からない仕組みや価格体系にしてしまっていることに問題があるといえます。
そのためどういった部分がスリム化できるのか、また、原価の再計算、作業工賃の算入などを考慮するのが良いでしょう。
業務についての知識や能力のミスマッチはリソースの問題
ECサイトの業務は実際、幅広いです。サイトの技術的な対応から、商品の管理、顧客対応、発送業務などは、実店舗のスタッフが設備周りのメンテナンスもおこないながらお客様対応をしてさらに倉庫の仕事もするような感じです。
ソフトウエアの操作にしても画像の処理とWEBでのマーケティングに関することでは全く違う作業です。単純にパソコンやスマホを操作するだけでは終わりません。
しかし、実際のところ、路面にある店舗での業務はこうしたことを兼任して行っているケースもあり、幅広く業務知識を問われるのはECサイトにかぎったことではない部分もあります。そのため、きつい感覚は規模が大きく、役割分けが少ない状態になるほど発生します。
それぞれ、業務の性質は異なり、求められるスキルも違いますので、もし一人のスタッフでこなすとなると実際には確かに大変です。それでも販売アイテムも受注も少ない初期などはこなせないこともないといったケースも少なくありません。
サイトの規模も売上の金額も大きくなっても、偏った人員で運営を回して、何かが滞りそうな状態になっていったり、業務が山積みになって労働環境が破綻しはじめているのであれば、これもまた人的リソースの不足が起きている状況といえます。
この場合はECサイトの規模に合わせて人員を配置するか、自動化できるポイントを探して効率化を図るかの2択になります。一方で、「ECがきつい」と考えるだけではなく、いかに効率化できるかという点はECサイトのテクニカルな課題として取り組むべき価値のある課題といえます。クオリティを下げずにどのように効率を改善できるかについて運営時に考えていくことは、EC業務としても優先順位の高い仕事と言ってもいいでしょう。
結果はどんな仕事でも求められる
「ECサイトの業務で結果が求められる」ということは真実です。また、他の業務よりも詳細にデータとして結果が数字として提示される側面もあります。
こうしたデータを求めやすいのはむしろECのメリットです。ネットショッピングはこうしたデータを元に分析を行い、結果に結びつけていきます。そのため、こうした数字によるデータは重要なビジネスの要素でもあるといえます。
ところで実際のところ、結果が常に求められる業務のほうが世の中は多いです。仕事と名がつく以上、結果は求められているのではないでしょうか。ただし、あまりにも短期的な数値だけを見て評価する、あるいはされるのは短絡的です。また、データの精度を求めるには常に一定以上のサンプルが必要です。
もし、結果を求められることが厳しいと全体的になっているのであれば、評価制度に問題があるか、分析結果の活用が足りていないということなのかもしれません。
積極的に分析結果を活用していくことでよりよい結果を導き出すことができるようになります。結果は常にトライ&エラーの繰り返しにより導き出されていきます。そのため結果が出ることはポジティブに捉えていくことが重要です。
むしろ、結果がよく見えないということのほうが課題となります。分析がうまくできないという場合はむしろサポートの必要があるかもしれません。
ビジネスの場である以上、顧客対応は必ずある
「ユーザー対応の難しさ」は実際のところ、ECサイトがビジネスの現場である以上、避けられません。「ネットショップだから顧客対応がない」というわけには残念ながらいきません。
加えてユーザー対応のきつさ、難しさについては、対面でリアルタイムにユーザーの状況を把握しにくいECサイトだからこその特有の問題もあります。メールではなく、電話での対応であっても、電話応対のスキルは必要になってきます。
また、前提として顧客対応はどんな業態であれ、難しさのある業務という認識が必要です。また、顧客対応だけを専門的に行うようなセクションではストレスも溜まりやすくなるかもしれません。
一方で、顧客のストレスの原因を減らせば業務は軽減されていくはずです。もしも同じような問合せが続くのであればそれはシステム的な問題を示唆しているといってもいいでしょう。
ゼロにすることはできないことです。しかし、システムの構築次第で対応の数を減らすことはできるはずです。 実際の店舗であればお店を作り替えることは困難ですがWEBであればそこまで負担は大きくありません。
また、FaQを充実させたり、ヘルプのためのボットを導入するといったことで課題の解決を効率化できる可能性もあります。
積極的に販売力を高める意味で、メール対応だけでなく、チャットの導入やボットによるある程度の自動化をするといったことで劇的に工数を減らす可能性もあります。
きつい状況=何かの不足を示している
キャンペーンや一時的なシステムエラーなど、あくまで突発的な業務増大によるきびしさではなく、先の見えない厳しい状況がECサイトの業務であるとしたら、それは確実にサイト自体や運営の体制などハード的な部分に近いところに問題が起きています。
そのアラートとして運営担当者全員が「この状況はきつい」というようならそれは、上記にあげたように不足や問題を示している可能性が高いです。こうした場面でむしろ闇雲に穴をうめるべく労働力を充て頑張ることでなんとかしようと考えているのであれば、現状の分析力と企画力の敗北といえます。
きびしくなった原因を冷静に分析してください。また、それに対して打つべき施策をいろんな方向性からしっかりと検討するべきです。当然、人員を追加するという解答になるケースもあれば、サイトの改修が必要になるといったことも考えられます。
結局のところ、「きつい状況」のECサイトを放って置くことはよくありません。そうした部分では業務のスムースさを失っている状況ともいえます。そんな状態ではECサイトの持つポテンシャルを発揮出来ない原因になります。
また、経営者という立場である場合、そのままの状況は放置しないほうがいいでしょう。厳しい状況を織り込んでスタッフを使い捨てのようにしているのであれば、また話は違います。しかし、普通に考えてそうでないのであれば、離職率を高め、経験の豊富なスタッフが退社するような業務環境では業務崩壊の可能性をさらに高めてしまうことになります。
問題をより具体的に認識して対処することが、ECサイトの運営が「きつい」という状態から抜け出すためにはとても重要です。
たとえば受注量が多く、発送梱包などに手間取っているのであればアルバイトやパートなどを募って配送チームを編成するといった方法もあります。社内の運営担当者の手が空けば、売上を伸ばすための別の業務に手を付けることもでき、運営を最大化していけます。
対策によってはさらに業務のキャパシティをあげて、ボトルネックを解消することで利益をあげることにもつながります。
チーム全体の「きつさ」は頼るべきところに頼るべきタイミング
ようするにECにおける業務のきつい状況は
- 知識・技術の不足
- 業務負担の不均衡
- サイトのシステムや表示内容
などから多くは生み出されているわけですが、こうしたことを変更していくリソースがない、人材を集められないという場合は運営代行会社やコンサルタントなどの専門家に依頼する局面に来ているといえます。
システムの更新で対応できる場合はサイトの完全リニューアルも含めた改修のタイミングがきていると言えます。こちらについてもどういった対策ができるのかWEB制作も含めた専門家の力を借りるタイミングといえます。
知識をもった技術者を求人で確保するのは、内部に知識が蓄えられるというメリットもあります。その一方で必要な人材が求人市場に豊富にいるわけでもありません。
そのため、そうしたアクションが結果を出すまでに時間がかかります。そのような場面では、多くの専門家を抱える運営代行会社としっかり関係を持って業務を進めた方が格段に効率的です。
業務の滞りを解決しながら売上を伸ばすための施策を打つこともできますし、商品ページの見せ方なども、専門家として経験してきたECサイト運営のノウハウを取入れながら進めていけるでしょう。
ECサイトは会社の顔にもなる部分です。ですので、すべてを外部に任せてしまうとルーティンだけの発展性のない事業として固定化してしまうリスクがあります。そうした状況をさけるため、近年では単純に代行ではなく、運営並走できるかが重要になっています。
つまり下請けという感覚ではなく、専門性を借りながらもっと近い距離感でサイトのブランドを確立できる運営をパートナーとして運営会社と進めていくことが成功のカギを握っています。そのまま業務を丸投げしてしまっては、指揮系統も機能せず、現場の状況も把握できなくなるため、動きの激しいECの状況についていけません。
連携のとれるパートナーを探すこともECサイトの業務をきついというイメージから解放してくれるポイントとなるでしょう。
【参考】ECサイトはできる運営会社と組んでWin-Winを目指そう
サイトの根本的なリニューアルで効率化をアップする
人的な問題も含めてシステム的な要因でカバーできるというケースもあります。そうした課題においてはサイトの改修という技術的な部分でクリアすることが可能です。
現状に合わせた効率的でありながらユーザビリティの高いシステムへ更新することはとても効果的です。受注の増加しているEC運営を適切ではない規模のECプラットフォームで捌いていくことは難しいことです。それぞれの規模感にあったECサイトを構築する必要があります。
EC運営が常にきつい状態は、例えるなら積載容量が増えているのにいつまでも軽トラックを使って高速道路を走っている状態になっているのかもしれません。車であればそれは大事故の原因になります。どこかのタイミングで適切な乗り換えが必ず必要です。
また、運営が適切に評価されることも重要です。かいなではそうしたことに課題を感じていたため、「tri-co」という新しいECプラットフォームをリリースしています。これは買う人、売る人、働く人、というECに関わる3つの立場に対してそれぞれがハッピーになることを目指して開発したECパッケージです。ECがきついという場合には参考になると思いますのでぜひtri-coのサイトも確認してください。
【参考】tri-co