ECサイト初心者向けに仕組みの基本を解説!構造を理解して構築や運営に生かす
2020.10.20
ECサイトはオンラインショップやネットショップという言葉に訳すこともできます。構築方法は手軽さが人気のASPや、カスタマイズが行いやすいパッケージ、全てオーダーメイドのフルスクラッチなどがあります。
それぞれメリット、デメリットなどもありますが、どの手法で導入したとしても基本的に必要な要素は共通したものがあります。ここではそうした基本的な仕組みと、その中でも特に重要なポイントについて解説します。
CONTENS
構築方法は違ってもECサイトの基本的な仕組みは変わらない
ECサイトは商品を販売するためのインターネット上の場所です。販売される商品はどんな形態のものでもかまいません。有形のものだけでなくサービスなど無形であることも問いません。例えば音楽や映像などのコンテンツやソフトウエアなどのデジタル商材はECサイトと相性のいい商品です。
どんな商品であっても販売することは可能です。それでも相性があるということは、つまり現在あるECの基本的な仕組みをそのまま用いる場合は販売において商品によって向き不向きがあるということです。
そのため、それぞれのサイトで提供する商品の特徴に合わせて機能を連携させたり追加させるなどの工夫は必須となっています。
その上で根本的なECサイトとして持つべき仕組みに大きな変化はありません。これはBtoCでもBtoBでも同じです。CtoCのサイトで個人同士がやりとりするものでも一緒です。
早速ですが、仕組みの概要をユーザーの行動フローを通して考えてみましょう。サイトに入ってから購入に至るまでユーザーの動きを、サイト検索から追いかけてユーザーの行動を予想するとこのような流れになります。
検索結果をクリック
↓
ECサイト内の検索ワードが記載された商品ページに着陸
↓
購入を決意し「購入」「カートへ」ボタン押下
↓
決済ページへ移動
↓
情報入力ページで入力作業
↓
決済完了ボタンを押下し購入確定
ここまでがサイトにたどりついて購入するまでのスムーズな流れです。もし広告など外部のリンクから進入した場合は着地点がECサイトのトップページになることもあります。
その場合は「トップページ→サイト内検索→商品ページ」という流れが加わります。また、ECサイトは必ず「特定商取引に関する事項」というページを掲載しなければいけません。そこには販売者や配送ルールなどを明確に記載し、曖昧なことを無くしておく取り決めを掲載します。
こうしてユーザーの行動を切り取って、さらに必須の情報を加えて俯瞰して見ると必要な構造が見えてきます。ページ単位でECサイトに必要な部品を切り取ってまとめてみるとこんなリストが出来上がるはずです。
- トップページ
- サイト内検索エンジン
- 商品ページ
- カート
- 決済関連ページ
- 特定商取引に関する事項
これがページとして最低限ECサイトに必要なページです。これらは基本的なものなので、しっかりと作らなければいけません。これだけあればあくまで「最低限」ですが、事業者は商品を掲示し、商品を買ってもらうことができるようになります。
ただし、これだけでは現状は機能として足りていません。例えば購入後に、どういった商品を購入したかを確認したり、配送先などの情報を変更したりなど、ユーザーがオーダーの状況を確認したり管理したりするページがないと、事業者側は対応に追われます。そしてユーザーも不安になります。
そのため、購入情報やオーダーに関する情報を管理できるユーザー専用のページが必要です。一般的には「会員ページ」としてユーザー登録してもらいログインして利用しますが、オーダーごとに番号などと注文情報などを組み合わせて情報を引き出す方法もあります。
しかし、セキュリティ的なことを考える必要もあるので会員登録を依頼してユーザーページで管理する方法が好まれます。ユーザー登録をしてもらうことで、それ以外にもメールで再訪問を促すといった方法にも活用できます。このように顧客を囲い込んでいくためにも有効ですのでぜひECサイトに持っておきたい機能です。
他には問合せフォームなどは多くのECサイトで基本的に持っている機能的ページとして取り付けています。電話を受けるのでもかまいませんが、それ専用に窓口を設け、対応すると一つの対応に対しその時間は工数が取られてしまうので効率が下がります。そう考えると問合せフォームの設置も必須と考えていいでしょう。
つまり以下のページもほぼ必須で構築時に盛り込むことが必要です。
- 会員ページ
- 問合せフォーム
バックエンドの充実こそECサイトの仕組みのキモ
前のトピックではユーザーが扱えるページについて解説していますが、これは用語としては「フロントエンド」と呼ばれるものです。デザインやサイトが発信する情報など表向きに関わるものがフロントエンドです。
ECサイトではこれに加えて様々なデータベースを結びつける構造が仕組みとしてとても重要です。分類分けは細かくありますが、こうしたものをまとめて大まかに「バックエンド」などと呼ぶこともあります。この仕組みがしっかりとそれぞれの業態に合わせて作られていないと、とても不便で運営に支障をきたすことになります。
権限の持った管理側アカウントを使って認証したユーザーだけが見られるようなページは会員情報、配送情報、配送情報、在庫管理、受注管理などそれぞれのデータベースから情報を引き出して視覚化されます。また、受注確認や発送連絡などのメールシステムなども必要です。主にこうした機能は作業の効率に関わってきます。
情報を発信するだけの企業ページとは違い、ECサイトには必ず実作業が伴います。そうした部分の負担軽減はバックエンドのあり方に関わってきます。カスタマイズの可変幅の影響はここにも大きく関係してきます。
もしカートASPを利用したのであれば、その仕様を変更することは困難です。そのため、自社の体制とそのASPのバックエンドの相性を事前に確認しておくことが重要です。もし齟齬がある場合はASPに合わせた運営体制を敷く必要があります。
構築方法には種類がありますが、こうしたバックエンドのカスタマイズに大きく差が出てきます。「モールでいい」と考える場合はそのモールの運営のあり方に特に影響を受けることになります。
集客とコンバージョンに関わる商品ページ
ECサイトの売上を伸ばすということは2つの数値をあげていくことと言い換えることができます。その2つは「集客」と「コンバージョン率」です。集客は「どれだけの人が集まるか」で、コンバージョン率は「来訪者のうちどれくらいの人が買ってくれるか」を示す数値です。この数値をあげていけば理論的に売上は必ず上がります。
この考え方はひょっとすると非常に理系的と言えます。そのためイメージ重視で捉えるのが得意な人には伝わりづらい、あるいは「認めたくない、それ以外もあるはず」なんて考えている人もいるかもしれません。
しかし、これはテクニック的な選択肢のある話ではなく、現象を言葉に置き換えただけの定義です。知っているからすごいという話でもありませんので、そのままそういうものだと覚えておいてください。結局、行っていく施策はここに結実していきます。
そして、いろいろな売上アップのハウツーはこのどちらかに、あるいは両方に必ず関係しています。
ECサイトのページの中で集客に関わってくる要素が強いのは商品ページです。商品ページ自体は集客を目的に作るわけではありません。また、そもそも、ECサイト自体でのSEO的な集客は、他のスタイル、例えばブログ形式の投稿スタイルに強いWordPressなどのCMSよりも格段に弱いです。
商品ページは文字要素だけで構成されているページではありませんが、関心のある語を盛り込んでしっかりと商品に結びついたキーワードを持たせることで多少は検索流入を期待できます。基本的なECサイトのページの中では最も集客に関わるページと言っていいでしょう。
ただし本格的に集客を考えるのであれば、別にコンテンツページを集積してコンテンツマーケティングを実施するべきです。なおそうした対策をした上でもより理解しやすく、より正確に商品の魅力やイメージが伝わるように商品ページを作ることは重要です。そうした部分に意識を持つだけで、集客だけでなくコンバージョン率をあげることにも繋がるページが商品ページです。
商品ページは基本的に以下のようなコンテンツで形成されています。
- 商品画像
- 説明文
- 商品の価格やサイズなどのデータ
- 購入数やバリエーションの選択
- 購入ボタン
商品サイズなどのデータに関わる部分は、特に工夫する必要はなく、正確に事実を記載することこそが求められます。色違いや材質違いなどで選択できるような商品は、それぞれ個別にページを作った方が在庫などの管理自体はしやすい場合もあります。
しかし、商品のなかに好みの色やサイズがないという理由で離脱の原因、つまりコンバージョンに至らない原因になることもあります。そのため、ユーザーは移動が少なく購入まで1ページ内で完結できるようにする方が良いでしょう。
また、購入ボタンがなければ商品の購入意思を示せないので、これは基本的なものと考えてください。購入ボタンを押すとカートに商品が入り、購入意思を改めて確認する決済に関連するページへと移行していきます。
上記の要素はそれぞれどういったレイアウトに配置するかなどを検討することになりますが、それぞれの存在や中身自体を吟味することはあまりありません。
商品ページの仕組みとしてECサイトの主な動向を握るのは「商品画像」と「説明文」です。また、この2点はAmazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングなどのモール型ECでもしっかりと考慮しなければいけません。ECサイトはそもそもの商品自体の魅力が必要ですが、この2点はその魅力を日の当たる場所に引き上げるためのECサイトの核となるコンテンツです。
商品画像は4枚以上の掲載が求められる
商品画像は売上に様々な面で直結するコンテンツです。現在、Google検索は画像による検索を利用されることも増えていることを認めています。また、画像は検索結果の上部にも掲載されます。商品画像も例外ではありません。
ここでしっかりと検索者の目につく画像が表示されれば検索による流入は確実に増えます。人間の認識は文字よりも画像の方が量と質共に多く、軽視してはいけない部分です。
画像はしっかりと商品の全体を掴めるよう複数のアングルから撮影したものを複数枚選んで使用するのが主流です。最低でも掲載数は4枚というのが一般的です。平均は6枚といわれていますが、今後さらにその数は上がっていくかもしれません。
【参考】ECサイトの商品写真、画像加工のポイントはわかりやすさ
文章は長すぎず、しかし不足なく
文章は日本ではたくさんの人が義務教育で習い書くことができます。苦手意識を持つ人もいますが、そうではない人も少なくありません。
一般的に美文や素晴らしい文章など色々と文については評価の方向性があります。しかし、ECサイトで文章として求められるポイントは「わかりやすいこと」に尽きます。また、写真だけでは表現できない部分をフォローする役割も担うため表現力は必要です。
しっかりと伝えるためにはあまり一つの文章を長文にするのはよくありません。短い文を連ねていくほうが、状況を把握しやすいからです。また、突飛な文学的表現には要注意です。時折、ECサイトで詩のような説明文を見かけますが、全編をその調子で掲載されていると、商品の印象が薄くなります。キャッチコピー的に使うことまでは否定しませんが、しっかりとバランスをとってください。
また、文章はサイトのイメージを握る大切な要素です。例えば「ですます体」でも「だである体」でもどちらを使っても構いませんが、全体的に統一することで、イメージを演出できます。サービス精神を演出する意味もあり「ですます体」が使われることが多い傾向ですが、商品単価や趣味性の高いものでは「だである体」で専門的な雰囲気を出すこともできます。
コンバージョンに影響する決済ページ
商品ページで購入意思を見せたユーザーをしっかりと引き止めるためにも重要な役割を担うのが決済に関わるページです。決済に関わるページは以下のようなものがあります。
- カート(買い物かご)
- 注文者情報入力ページ
- 決済方法選択認証画面
決済関連ページでコンバージョン率をあげる工夫としては、「いかにユーザーの手間を省くのか」ということが課題です。気楽に安心して買い物ができるほど財布の紐は緩みます。これは何もECサイトに限ったことではなく「つい財布の紐が緩んで」ということは、貨幣経済の始まりと共にあるような言葉です。「安心と気楽さ」は買い物の重要なスパイスです。これを念頭置きながら決済に関わるページを作り込んでいくことがコンバージョン率をあげる取組の根幹にあります。
商品ページで購入ボタンを押された商品は「買い物かご」に移ります。ユーザーはそのまま決済しても別の商品を購入しても構わないような仕組みにするのが基本です。最近ではカートのアイコンに吹き出しが着くようなシンプルな仕組みにしているECサイトも増えてきました。必ずしもページ遷移する必要はないため、別ウインドウやポップアップで示すパターンはコンバージョンをあげ、客単価の上昇も狙う取組みとして考案されています。
注文者情報ページも以前は入力の手間がよく指摘されていました。そのため会員登録をしてもらい、ログインすることで2回目の手間を省くパターンが一般的でした。最近ではブラウザの自動入力機能に対応させることでその手間を軽減させる方法も普及してきました。
大型のサイトでは会員情報の認証機能を高めて、アクセスしている端末の所有者を登録することで、ログインさえせず購入できるといったパターンも取り入れられています。
一方で認証などはいかに安全性を高めるかが課題です。これは手軽さとは相反する項目でもあります。ECサイトで主流の決済方法はクレジットカードによるものですが、度々情報漏洩がECサイトでも問題になっています。
また、他の手軽な決済方法も普及していますが「手軽かつ完全に安全な決済方法」はありません。そのため、どうやると安全性が高まるかが日々研究されています。中には厳重に郵送でPINコードを送って到着後に入力を依頼するようなものも少なくありません。そうした厳重な管理は面倒と思うユーザーがいる反面、安心感にも繋がります。基本的にそうした対応は一度だけのことですので何が良いのかしっかりと検討する必要があります。
クレジットカードの決済であれば現在は決済代行会社のサイトに決済時のみリダイレクトさせる方法と、Javaスクリプトを利用したトークンの発行により情報を暗号化する方法が独自に展開するECサイトでのクレジットカードに関するセキュリティ対策として主流になっています。
簡単にまとめると方向性は以下の3点です。
- 決済工程の簡素化と明快さ
- ユーザーの作業の軽減
- 高い安全性
サイトから離れた後のこともケアしよう
ECサイトのハウツーについて、WEBの技術的な側面から語られる資料はインターネット上に山ほど転がっています。しかし、ECサイトは多くの企業にとって、実作業が必ず紐づくものです。実際にこうしたことにまで踏み込んでいるハウツーはネット上では驚くほど少ないのが現状です。実はこれはユーザーにとっても同じことがいえます。
まず考えなければいけないのは見込み客であるユーザーはECサイトを単純に見ることを楽しむという行為を最終目的にしていません。最終的にはその商品を手にいれることがヴィジョンとしてあります。多くのITコンサルはサイト内のことについては世話を焼きますが、それ以外については実際のところ、いくら頑張っても素人も同然です。
例えば顧客対応についてはあまり知識もないので安易にアウトソーシングを提言しています。しかし、顧客対応のマニュアル化が進んでいない企業がアウトソーシングをすると印象は「言葉遣いだけは良いけどまともな対応ができない」などと批判を密かに生むことになります。
つまり、こうした行為はファン化を遠ざけることになる可能性もあります。ECサイトは効率よくシステムを作ることで人的資源の活用を減らせますが、その先にいるユーザーは人間であるという意識も忘れずに持っておくことです。
そうしたことを考慮した結果、現在では多くの企業がユーザーエクスペリエンス(UX)に注目するようになってきました。しかし、このUXへの注目度に比して実情として実際に取り組めている企業は多くはありません。IT化によって世の中の均質化が進む中で、ここに先鞭をつける企業こそが明るい未来を手にすることでしょう。
UXを考えた場合、ECではオンラインショップのことだけを考えるのでは、もはや大きく不足があります。そこでAppleなどでは実際にどういったパッケージで届くのかを重要視していたり、そうした意識を持つ企業も少なくありません。
確かに新しい買い物をして実際に箱を開ける瞬間はワクワクします。そのため、自分だけでなく、それぞれの顧客のそういった場面をいかに大切にできるかが顧客をファン化することに関わってきます。また、ウェブでもできる部分としては商品の使い方のフォローアップなどを通してユーザーと如何に密接に関わっていくか、そういった姿勢も重要になってきます。
ECの普及と共に今後、こうした流れはECサイトに限らず、BtoCビジネス全体に広がっていく傾向は強くなっていきます。制作会社も含めて、インターネットと実商品をリンクさせる幅広い意味においてのデザインやヴィジョンがECサイトを中心に求められていくようになるでしょう。
新たなUXをユーザーに与えるという点で、ブランディングをしていくことには連動性があります。それぞれの商品や企業に対する愛着が生まれることで、ユーザーは寛容になり、UXを幅広く楽しめるようになるからです。
弊社もそうした立ち位置をもってECサイトについてのブランディングの重要性を感じ、またお客様のみなさんの助力になるべく施策を組み立てています。
もし、そうした点に悩まれている方はご相談ください。