ECサイトをオープンさせよう!ローンチ時のチェックポイント解説
2020.08.13
ECサイトのスタートはまず構築を計画する時、そして一般に公開を始めるオープン時と2段階あります。構築ではWEB制作がキーポイントになりますが、オープンの準備についてはもっと総合的なことが問われます。
ここではオープン前後にどういったことに注目すべきかを解説します。
意気込んでも最初は誰も見に来ない
最初にショッキングなことをお伝えしなければいけません。自社でECサイトをオープンしても最初はお客さんになるようなユーザーはそのネットショップにほとんど訪れないでしょう。
でも落ち込む必要はありません。
これはモール型ECに出店する以外の方法で構築してECを始めるのであれば常識的なことなのです。
こうしたことは始めのうちは検索エンジンからの流入が難しいことが原因です。そのため、開始時からある程度の受注を見込むというのであれば、リスティング広告などである程度費用をかけて露出していく必要があります。もしSNSアカウントにすでにフォロワーが多く集まっているのであれば、こちらも必ず有効に活用して宣伝することでよい結果が生まれます。
大規模な運営チームを抱えているなどの事情でもないのであれば、やはりスタート時はポテンシャルを発揮できない状態と言えます。
そのため、初めて数ヶ月のあいだは受注の少なさだけでなく、閲覧数の少なさを憂う必要はあまりありません。むしろ、少ないユーザーの動向を分析し、受注のフローを確認するなどにはよい状況と考えるようにしましょう。
スロースタートが基本であると認識しておくことで、無駄に焦らなくてもよくなります。過度の期待は継続的な運営に支障を来すことがあります。
しかし、当然何もせず集客ができるようになるわけではないので、その後の運営は着実に続けていくことが重要です。
何事も始めはトラブルが多い
スタートアップは予想外のことが多く山場の連続です。サイトの構築時を乗り越えてオープンまで漕ぎ着けたことで安心していることかと思います。最近ではBASEやStore.jpのような無料ASPなどでは簡単に始められますが、そうでなければ、ASPやEC-CUBEなどのオープンソース、パッケージなどから構築方法を吟味して決定し、デザインや機能などを検討し、細かいディテールを詰めるなどの作業はなかなか大変なことです。制作会社に依頼していたとしても関わらなければならないことの多さは担当者にとって大きな山を登る作業です。
しかし、実際のところ、オープン時はまたこれから別の山に登る感覚で、様々なことが必要です。
初期に改めてチェックしておく必要のある主な項目は以下の点です。
- 在庫の補充も含めた管理体制
- 発送の手順
- 作業工数の確認
- 受注数に対する体制の許容量はどれくらいか
- ルールや決済方法の確認、トラブルシュート想定
などです。今までのサイト作りは建物を作っているに過ぎません。運営を行うことでサイトが動き出すことになります。
そのうえで、サイトで作り込んだ部分より先は、人間の実際の作業が必ず発生します。こうした切り替わる部分がスムーズにいけばトラブルは少なくなりますが、ここをしっかりと考えておかなければ、最初の数少ないユーザーさえ逃すことになります。
在庫に関しては、切らしてしまうと販売機会の損失につながります。一方で過剰に抱えるのもコストになります。もし、実店舗も運営していて、そこで共通の在庫から引いて行くのであれば、共通した認識を持っていかに運営していくかということが非常に重要になってきます。
これはなかなか面倒な作業でもあり、もし担当が分かれていたりする場合は必ず共通認識を事前に持てるようにしておく必要があります。
こうしたことはオープン前にいろんなユーザーを想定してシミュレーションしておきましょう。それでも想定外のトラブルは起こるものです。そうした場合は、基本的に利用規約など添って行動するようにしましょう。
イレギュラー対応する時は要注意です。そのイレギュラー対応は問題がないのか注意深く客観的に分析してください。場合によってはトラブルを解決できなかったり、さらに大きくしてしまうということも少なくありません。
また、オープン前だけでなく、オープン後も社内での周知は怠らないほうがよいでしょう。人間は自分と関係のない業務に関心が低いことが多くあります。しかし、ECサイトでは多くの部署が直接的、あるいは間接的に関わります。ここで問題は間接的に関わるスタッフです。ここで距離感があると業務に支障を来たし、ボトルネックになるというケースも少なくありません。
事細かにすべてのことを把握してもらう必要はありませんが、何事も近い立場にある人からどんどん理解を広げていきましょう。
受注から発送の体制はできていますか?
ECサイトは直接の接客ができないことが最大の弱点と言われています。これは無料のASPであっても、オープンソースで自由に構築しても、あるいはフルスクラッチで費用を十分にかけても同じことです。
そうした中で、ユーザーの印象に大きく影響を与えるのは商品を受け取って開梱する時です。サイトの作り込み以外では非常に重要な部分です。
例えば梱包の段ボールや梱包された商品の状態などについては細心の注意を払ってください。ブランディングを重要視しているAppleでは梱包を開けて利用を開始するまでも重視して開発しています。
今はECサイトのあり方として、こうしたことまで言及することはあまりありませんが、実際にはこうした部分はECサイトにとって非常に重要なことです。かなり普及は進んで来たECですが、今後さらに普及していくことで、こうしたUXについての研究やそれに対する施策は誰もが考えるポイントになってくるでしょう。この点についてはサービスの一環として考慮する必要性の高い項目ではないでしょうか。
実際に最初からそこまでの取組みは要求されませんが、梱包時のパッケージなどについては企業やサイトのイメージも大きく関わっているため、スタート時から注目しておく必要性の高い項目です。統一したブランドイメージの普及、ブランディングを考えるのであれば取組むべき課題といえます。
また、発送、梱包はどうしても手間がかかります。こうした部分の工数を考慮しておくことが重要です。一件あたりの発送作業にどれくらいの手間が発生するのかしっかりと把握しておきましょう。それによって販売の限界値なども変わってきます。
もし売上を伸ばしたいというのであれば、そうした面での整備は必ず課題になります。こうした実務面に対応しなければ、いくらサイト構築に予算と時間を投じても無意味になってしまいます。サイトのデザインなどは、変更すれば見た目で変わるのでわかりやすい部分があります。
一方でこうした梱包、発送の体制づくりは目に見えにくいのでわかりづらさもあります。しかし、とても大切な作業です。
やり直しは基本的に利くけれど、後戻り出来ないこともある
ECサイトの作りに対して、オープン前後から問題を洗い出すことはとても重要です。何度もシミュレーションを繰り返し、オープン後もメンテナンスを継続してカスタマイズしていくことでより使い勝手のよいサイトにするようにしましょう。
サイトの内容について、たとえば文章や写真などは更新して変えていくことも可能です。構築方法によっては、改編自体が容易なことの幅はありますが、やり直しの利くことはしっかりと修正していくべきです。
もちろんシステム的にどうにもならないこともあります。例えばASP利用時の決済方法などはASPの事業者が対応しない限り、どうにかするのは難しいことです。こうした面では後戻りは難しく、全面的な改修を行う時期を待たなければいけません。
そうしたことに加えて重要なのはユーザーを巻き込むような行為です。ここは一発勝負です。そのため、決済から発送、そして購入したお客様が開梱して使用するまでは、失敗のないようにしてください。ECサイトという以上、購入客があってこそ成り立ちます。ECサイトの運営側にとっては、数ある客の一人ですが、ユーザー側は選んで購入しているわけです。そうしたユーザーの立場に立って運営を継続出来るか、作り込みをできるかが重要です。
そして最後に集客については、しっかりと考えてサイトを作り込んでいく必要があります。集客できるための施策は初期から積み重ねていくことが重要です。運営に関しては、一連の作業をサポートする企業もあります。どうしても専門的なことも多くなってくるので、豊富にノウハウを持っている運営会社に依頼するということはある程度の売上の規模にECサイトがなっているのであれば一般的になってきています。