個人で始めるECサイト〜必要なものを用意しよう
2020.09.18
ECサイトを始めることは個人も含めて非常に簡単になってきました。幅広い構築方法がある中で、経済的な負荷も少なく簡単にインターネット上に商品を流通させる仕組みとしてECサイトに関わることが活発化しています。ここでは、個人レベルでオンラインショップを始める場合の法律的なことや注意点を解説します。また、多くのネットショップが乱立するECの世界で初心者による個人のサイトが突破口を開くポイントも合わせて解説します。
CONTENS
ECサイトは今や手軽に開設できる
個人や企業に限らず、自分自身のECサイトを始めるハードルは物凄く下がっています。それは主に2つの事象が牽引することでおこっています。一つは無料で始められるインスタントECと呼ばれるようなBASEやSTORESのようなASPの登場で、資金的なハードルが大きく下げられたことです。
もう一つはシステムに対するプログラム的知識がほぼ必要ない状態にまで、洗練されてきたことで構築が簡単になってきたことです。細かいデティールを意識した機能やデザインの面での自由度を求めなければ、多くのASPカートはECサイトを構築するという要望に対して十分に応えてくれることでしょう。また決済についても簡単な審査だけでクレジットカードを利用できるようにすることも可能になってきました。
もちろん、パッケージや、あるいはフルスクラッチで簡単に作ることはできません。それだけサイトの構築に幅が出て来たということです。物事は難しくすることは簡単ですが、誰でも手軽に使えるようにすることに難しさがあります。ECサイトの構築についても、こうした手軽さの方向へ進化してきているということです。
こうした、ハードルの低下によって、売りたい商材があり、供給が可能であれば自分のECサイトを持って、販売する場を作ることができます。今まで、個人での販売はYahoo!オークションなどのCtoCに頼って来たようなケースでも自分のECサイトというチャネルを持って事業に挑めるのは大きな変化といえます。
もちろんモールで販売するという選択もあります。Yahoo!ショッピングは初期の開設費用がかからず、こちらもAmazonや楽天市場と比較すると参入障壁の低い方法として、無料ASPとともに個人で簡単に始められるECとして人気のある方法です。
無料ASPについては、このサイトでもいくつか説明している記事があります。詳しくはそちらを参考にしてください。
【参考】どこがオススメ?!ECサイトを無料で開設できるASPを比較
いずれにしても自らのショップをインターネット上に導入することのハードルが物凄くなっているということは確かです。ではまずどういったことを考え、準備をして、どういった選択をしていくのかを考えてみていきましょう。
機材や場所はそろっていますか
最近はスマートフォンの機能が侮れません。一時期であればECサイトを行うのならPC、カメラは必須でした。しかし、最近は豊富なアプリと搭載されている高機能のカメラでやり抜く強者も出てきました。
しかし、実際のところ、PCや一眼レフカメラ、そしてプリンタは必要です。あくまで「スマホ一台でやれないことはない」というレベルであって、それで十分というものではありません。作業の効率がはっきりいってよくありません。
ミニマムな設備で販売するという発送の逆転的なものを売りにしようと言うのでもない限り、プリンタはまず最低限、確保してください。納品書などのプリントに頻繁に使うため、出番は決して少なくないはずです。実際のところ、ある程度しっかりと運営していこうというのであればこうしたものを購入するメリットは十分にあります。
また、梱包する場所も確保してください。梱包作業は意外に場所をとります。商品によるのでどの程度のスペースが必要かはマチマチですが、しっかりとスペースを確保してください。実店舗があり、普段から店頭で発送を受け付けているようであれば、その場所を使うということも考えられます。しかし個人でスタートさせるのであれば、必ず注文後のことは考えなければいけません。作業場所は広い必要はありませんがけっこう散らかります。梱包材などは効率のよい配置を考えると作業時間が変わってきます。また、個人で行う場合は、こうした作業も初期はすべて自分で行うことになるので、何より発送や梱包作業の時間が必要になってくるかもしれません。もちろん規模が大くなれば本格的に事業として取り組む体制を考えていくことになります。
個人で始めた場合、年間で20万円以上の売上がある場合は確定申告が必要です。材料の仕入れなどに関する経費なども計上できます。納税自体は義務ですので、必ず行ってください。初年度は初めての作業なので抵抗があるかもしれませんが、個人レベルでの税務はそこまで専門的な知識が必要になることはあまり多くありません。一度行ってみればそれほど難しいことではないということがわかると思います。
注文が増えて利益が大きくなってくれば税理士といった専門家の力を借りたほうが時間的にも節税的にもメリットが出てくる可能性があります。
特定商取引法に関わる情報は必ず用意
「ECサイトを始めてみたい!」という人にとって最初にハードルになることは「何か許可や資格を行政から取らなければいけないのか?」ということかもしれません。
しかし、そうしたなんらかの「許可は必要ありません」。誰でもECサイトを行ってもよく、誰でも始められます。もちろん法に触れるようなビジネスは論外です。これはECサイトではなくてもできないわけですから、考えるまでもないことでしょう。
ただし、ECサイトには必ず「特定商取引法に関わる表示」を行う義務があります。通販では必ず明示しなければいけないもので、インターネットを使ったビジネスの場でもあるECサイトもその中に含まれています。サイト内に必ず明示してください。必要とされる項目は全部で14項目です。
- 販売価格、送料
- 代金の支払い時期と方法
- 商品の引き渡し時期
- 申し込みの撤回方法や契約の解除方法
- 事業者の氏名や名称、住所、電話番号
- 法人の場合は責任者の名前
- 申し込みに有効期限がある場合はその期限を明記する
- 販売価格と送料以外に購入者の負担がある場合は、その金額を明記する
- 販売した商品に問題があり販売者の責任がある場合はその内容を明記
- ソフトウエアの販売であれば動作環境を明記
- 商品の販売契約を2回以上する必要がある場合はその内容を明記
- 販売数量の制限や役務での条件等の明記
- カタログがあり有料の場合はその金額を明記
- メールマガジンなどの広告を送る場合はその発信元メールアドレスの明記
この項目について詳細は消費者庁のページにも掲載されていますので、サイトを作ろうという人やもう作りはじめている人はよく読み込んでおいてください。
【参考】特定商取引法ガイド
このルールで取り決めしているのはサイトの運用面で最も基本的なことでもあります。しっかりと記載しなければユーザーを不安にさせるため、売上を伸ばすことは難しくなることばかりです。
この中で重要なのは、住所と電話番号をしっかりと明記しなければいけないという点です。作業場となる場所を明記してください。また、電話は普段利用しているプライベート用の電番ですとプライベートが完全になくなってしまう可能性もあります。そのため十分に考慮して掲載する電話番号を決定してください。
特定商取引法に関する記載については以下の記事も参考にしてください。こちらは利用規約についての記事ですが、特定商取引法に関する表示についても説明しています。
【参考】ECサイトの利用規約はユーザーと運営を守るための約束事
商材によって必要な許可は忘れず必ず取る
ECサイト自体の開設については先ほども説明した通り、なんらかの許可を取る必要はありません。
しかし、販売に際して許可を受けたり、認可を貰う必要のある商材も存在します。わかりやすい例ですと酒類です。酒を販売する場合は酒類の販売業免許が必要です。主に下記ような商品を取り扱う予定の場合はかならず詳しく確認してください。
- 食品
- 中古品
- 酒類
- 医薬品
- 化粧品
- ペット
- 食にかかわる輸入品
それぞれ資格が必要になるケースもありますので注意してください。特に食品に関しては、気軽に始められますが、保健所での営業許可が必要なのを知らずに販売しているケースもあり要注意です。しかし、食品すべてに適応されるわけではなく、農作物やパッケージ済のお菓子、お茶やコーヒーなど資格や許可の不要なものもあります。
いづれも取り扱う商品が決まっている場合は事前によく調べてください。また、キャラクターに関わるものについては著作権に関わるケースもあります。知らない間に法律に触れていた、他人の権利を侵害していたといったことのないようにしておくことが重要です。法廷などにまで持ち込まれるとたとえサイドビジネスで始めたことであっても、メインの職に対して負担が大きくなることも考えられます。ましてやメインのビジネスで考えているという場合であればなおさらです。
売り出したいポイントをアピールできるように対策していこう
商品の撮影やそれぞれのページの作成を終え、登録が完了するとついに販売の開始となります。さまざまな準備を終えてオープンとなれば、これで一段落と考えるかもしれません。しかし、実際に売上を上げていく道のりはここからが第一歩です。
個人で始めた場合、企業と比較すると圧倒的に足りないのは資金です。初期のタイミングでは集客が思うようになりません。これは自社サイトの弱点であり、よくデメリットとして上げられるポイントです。SEOが弱いとされており、無策の場合は検索の流入も見込めません。
こうした状況を資金力があればウエブ広告で乗り切ることも考えることができます。広告は個人でも手軽に始めようと思えばできる範囲の金額で利用することもできます。しかし、闇雲に広告を使うことは資金の浪費につながります。効率よく費用対効果の高い広告を打つべきです。
そのため、個人で販売を始める場合はあまりアイテム数を増やさず、しっかりと商品の特徴を打ち出すことを念入りに行うことが重要です。もし特異性の高い商品を扱っているのであれば自然検索でも有利ですし、入札式になっているウエブ広告の多くの部分で有利です。
また、できる範囲で情報発信をしていくことも重要です。ブログやSNSなどを通じてしっかりと商品の特徴を宣伝してください。
成功するにはなによりも長く継続できることが重要です。在庫数の設定や発送のスケジュールについては無理をしないペースで初めてください。日々サイトの管理を続けていくことはお客様との信頼関係を築くことにつながります。購入者は個人か法人かという区分はしてくれません。しっかりと取組んでください。
売上が安定して伸びて来たなら場合は次のステップへ
売上が十分あがっている場合は別のタームへ移すことも考えておきましょう。販売手数料を取られるようなASPでは、金額によっては定額制のサービスへ移行したほうがよいというケースも考えられます。また、商材に魅力があるのであれば、運営の経費をかけることで利益をあげることもできるかもしれません。運営代行などのサービスを利用していくことで、業務は活性化します。
もちろん、個人の場合、ECサイトを使って商品を販売する理由は企業と違い単純に売上があがることだけではないかもしれません。よりニッチなつながりを求めて、同じ趣味の仲間と、地域を超えて繋がるといったことも目的にしているかもしれません。しかし、プロジェクトがいろんな人の手で運営されることで、EC以外の事業全体の社会性が高まっていくという側面も否定できません。可能性をシェアできるということも利益追求だけでなくECの社会的な貢献では重要な部分です。
もし、なんらかの創造物があるというのであればECサイトでそれを広める一歩を是非試してみてください。それぞれの商品に合わせたサイトの構築や、施策が必要になってきますが、そうしたことも含めてまずは初めて見ることが大事です。
また、個人のサイトであっても、セキュリティについての意識は十分にしてください。顧客がつくということはそのユーザーの個人情報を扱うことになります。もし問題を起こせば企業の場合と同じように社会的なペナルティを負う可能性があります。