ECサイト売上ランキングから見るオムニチャネルの可能性

2020.07.21

ECサイトの売上ランキングを見るとAmazonや楽天などEC大手が並びます。こうしたことは新規でECを始めようと考えているような場合は、「あまり関係ない」と考えるかもしれません。

しかし、そのランキングに名を連ねるサイトの顔ぶれはある傾向を示しています。ここでは、2020年に発表された売上ランキングから読み取った、今後のECの傾向について解説します。

ECでのBtoBとオムニチャネルの流れに未来あり

ECは産業というわけではなく、商売のスタイルを指す言葉ですが、これを業界としてまとめて考えるとまだまだ伸び代があり成長をしている業態ということがいえます。

日本ネット経済新聞がまとめた各ECサイトの2018年の売上をまとめたものが2019年の末に発表されています。2020年7月時点では国内の売上データを示す資料としてはこれが最新です。楽天やYahoo!ショッピングなどのモールはのぞかれていますが、Amazonはマーケットプレイスという形式のためランクに入っています。日本法人だけでも圧倒的にぶっちぎりの1位です。売上高の1兆5350億円という金額は桁違いといっていいでしょう。

それは置いておいてもこのランキングを眺めていてある傾向を示していることが二つあります。それはインターネットの小売である通販とは系統が違いますが、BtoBとオムニチャネルです。

ECでのBtoBは

長らく、BtoCの躍進が目立っていたEC業界ですが、実際にはBtoBのEC市場規模のほうが巨大です。また、それでもまだBtoBは伸びしろのある領域でもあります。

売上ランキングではオフィスサプライヤー大手の大塚商会や、ネジなどの金型製品を販売するミスミが上位に食い込んでいます。他にもモノタロウやアスクルは一般向けのロハコと売上が合計されていますが、こちらもビジネスユースに強く、軒並み上位にランクインしています。

こうした傾向はビジネスの現場での購入先がECに移行してきているという証左でもあります。ECでのBtoBの売上は344兆円といわれており、BtoCの17兆9800万を大きく上回っています。この数字は毎年更新してきており、今後さらにECでの取引が主流になっていく傾向はさらに強くなっています。

こうしたことの背景には、ECによる決済を導入することで業務を効率化できるという点にあります。その一つとして書面的なやり取りをすべて電子化しておこなうEDIシステムの導入が進んでいます。

実際のところ、ファイルの電子化は90年代から政府主導で進められており、ペーパーレス化の推進と相まって、こうした取組みの継続がBtoBのEC化を後押ししています。結果的にECを導入したほうが効率的です。そのため、取引金額も大きく巨大な市場を作っています。

今後はBtoBはECでの取引が標準化していくかもしれません。

New call-to-action

企業の資産を最大化するオムニチャネルの可能性

BtoCで注目すべきはオムニチャネルの導入です。

家電量販店大手のヨドバシカメラは、ECでの売上を伸ばしています。家電はネットでの販売と相性がいいといわれていますが、ヨドバシカメラの場合、その背後には店舗の影がちらつきます。ヨドバシカメラは配送のスピード感など、ECに力を入れている部分はものすごくあります。

しかし、それだけでなく、事業をネットショップと実店舗で分割して考えるのではなく、それぞれの特徴をいかしながら相互作用的に機能するようにスタンスを持たせているところにもイメージを向上させて売上を伸ばす要素になっているようです。

また、今や世界を代表する衣料メーカーとなったユニクロもECでの売上を順調に伸ばしています。やはり、こちらも実際の店舗をうまく使っている印象があります。他にもニトリ、ABCマートなど、もともと実店舗での販売力が強かった企業がECでの売上を伸ばしているのはとても印象的です。

こうしたことは小売りの多い日本では、注目せざるを得ないことです。こうした実際の店舗網を持ちながら、なおかつECサイトでの売上を伸ばしているこれらの企業に共通しているのがオムニチャネルの導入です。

オムニチャネルはITを活用して、複数のチャネルでユーザーと接触を図るビジネス手法です。似たような言葉にO2Oというものがあります。これはオンラインからオフラインへ、または逆にオフラインからオンラインへとユーザーをつなげていくという考え方です。

オンラインショップと実店舗での導線をしっかりと確保して、一貫したサービス環境を構築し、顧客を囲い込むビジネスモデルがオムニチャネルの基本です。一時期、Amazonが運営する店舗が大きな話題になりましたが、これも今まで実店舗を持たなかったAmazonのオムニチャネルへの取組みといっていいいでしょう。

実店舗とオンラインショップ、SNSなどはユーザーへのアプローチや距離感などが違い、お互いにそれぞれ強みと弱点が違います。それを一つの枠組みとして取り入れ、どういったチャネルで入ってきたユーザーも一元的に対応していきます。

オムニチャネルの要はもともとはリターゲティング広告を用いて関心のあるユーザーと接触しながら行われるというものでした。そこでは少しずつブランドを浸透させていき、深い部分まで連れて行くことにあるとされています。

そういった基本的な概念としては、まだ最終的にECによるオムニチャネルが活発化しているとは捉えづらいといえます。しかし、そこまで概念通りガチガチな状態ではなくとも、こうしたチャネルごとに比較するのではなう、トータルでユーザーを捉える行為が結果として売上ランキングに示されているということは事実です。今後、より注目を集めていくのは間違いのない流れと考えられます。

オンラインショップのあり方が変わって来ている

ECでの買い物について、今までであれば、オンラインショップで購入した商品は配送して自宅に届くという到着点のみが用意されてきました。また、お店で購入した商品はあくまで、自分で自宅まで持ち帰る、あるいは配送をその場で依頼するという流れで、オンラインショップと実店舗との間にはつながりがありませんでした。

企業によってはそれぞれの商圏を意識し合うため、なぜか社内でお客さんを奪い合うような意識が生まれることさえあります。

一方、オムニチャネルではこうした点をフレキシブルにし、実店舗やオンラインを区別することを重要視しません。あくまでそのブランドのお客さんと捉えて対応する考え方です。

「オンラインショップで決済した商品を店舗で受け取る」、あるいは「店舗で購入した商品をオンラインショップの基準で自宅配送してもらう」といったことにフレキシブルに対応していくことで、全体としての売上を伸ばすというものです。

衣服や靴、生活家具などは、実際に質感を確認したいなどの需要が低くありません。そうした中でもECは売上をあげてきましたが、オムニチャネル化は購入を後押しすることに一役買っています。

最初に名前を挙げたヨドバシカメラは、実際に店舗をショールームと位置づけ、最終的にオンラインショップで購入に結びつけることで結果として評価し、売上を伸ばしてきました。もちろん豊富な品揃えや、早ければ当日中に商品が届くことに加えて、本当に急に必要であれば店舗での受け取りも可能なシステムが構築されています。一見使い方のわからない家電製品であっても、一度実物を店舗で確認して購入でき、店舗スタッフの業務知識や接客力なども総合的に活かしているのも特徴です。

ECでの購入は商品名がわからなければ目的の商品にたどり着けない部分が多いにあります。しかし、ヨドバシカメラのようなポジションにしたケースでは、オンラインでは手が届かないところをフォローすることができるため、相互作用もより大きなものになります。

また、オムニチャネルの導入はブランディングにも効果を発揮しています。ヨドバシカメラの例はユーザービリティの向上に大きく寄与しておりわかりやすい例ということがいえます。オンラインショップの存在が、実店舗への来店動機に繋がったりと、ECサイトだけではなく、いろんな場面でブランドと接触する機会をつくることで全体的な集客効果をあげているのも特徴です。

新たな体験を生み出す時代にマッチしているオムニチャネル

ECサイトでは主にSEOを強化して集客をしますが、ユーザーはスマートフォンやPCを使ってオンライン上にいる場合、常に検索し続けているわけではありません。実際にオンライン上の時間の多くを複数のSNSとシェアしています。また、自宅から学校や勤務先、その他の時間を過ごし、オンラインから離れている時間帯もあります。

オンライン上での時間の一部でもそのブランドに意識を持たせることができれば、認知度をあげることができます。それをオムニチャネルは、それぞれのポイントから複数のアプローチをしてブランドの奥深くまで引き込んでいき、新たな体験をユーザーに与えていきます。

オムニチャネル自体は以前からある概念ですが、実際に普及し始めてからはそこまで歴史があるわけでもありません。後発でも取入れる余地があり、また実店舗が強い業態でも活かせることがわかってきています。また、そもそも、それぞれの企業のあり方として規程の流れになりつつあるので、後乗りなのかどうかはあまり関係のない話になってきています。

サービス向上に向けてECサイトは必須になってきている

オムニチャネル化はこうした売上ランキングに入らないような規模のECサイトでも実店舗を運営しているのであれば有効な手段と考えられます。

また、新型コロナウイルスの流行により外出を自粛するという状況になった時に実店舗の売上を助けたのもECサイトの存在でした。様々な影響が今も続いていますが、これがECへの取組のきっかけになった企業も少なくなかったのではないでしょうか。

一方でこのタイミングでECサイトの売上を伸ばしたきっかけは実店舗でのファン獲得であったという例も少なくありません。実際にお店で体験したことがきっかけで、購入する例は少なくありません。これはオムニチャネルというには大げさですが、複数のチャネルがあるからこそ、ユーザーもその商品をリピートでき、企業側もビジネスチャンスを逃さずに結果に結びつけることができているわけです。

日常が変容していくなかで、いつでもどこにいても購入できるということは貴重でもあります。また魅力的な商品があれば、どういったルートからでもユーザーは入手したいと考えます。

そうした流れを考えると、ECサイトの存在自体がサービスの基本ラインとして「存在して当たり前」という時代になってきているということが言えるでしょう。もしECサイトの構築を検討しているけれど、いまいち難しいと思う場合はご相談ください。

New call-to-action

PAGE TOP
メールで
お問合せ
ZOOMで
無料相談
お役立ち
資料DL

ブランディング会社がつくった
共創ECプラットフォーム