ECサイトの業務を委託するならこんなポイントを押さえよう
2020.07.21
ECサイトの運営業務には専門性の必要な部分も少なくありません。一方で継続的な仕事に対して発注先の外部企業を主体で進めていくということに抵抗のある企業も少なくないでしょう。それでも行き詰まった時には大きな力が必要です。
ここでは、そうした力の一つでもあるEC業務の委託について解説します。
CONTENS
多くの企業にとって異業種的になりやすいEC
ECの歴史はそれほど長くはありません。一方で情報だけはインターネットでたくさん出ています。多くのそうしたサイトが「ECの成功には○○が必要!」などと行動を促してきますが、それぞれの事情もあり同じようにはなかなか実施できません。また事情が違うということから、同じような結果にも到達できません。
直接運営に関わらない経営層は、情報だけは仕入れているというパターンも多く、こうした溢れているインターネット上の情報をよく知っています。そのため、運営担当者に現状を顧みず「〜したらいい」「○○はできないのか」と要求してきます。そうなると運営担当者としても現状への対応との板挟みでなかなか厳しい状況になります。
こうしたことの原因の多くはECが今までのその企業内の業務とは異質な点があるということにあるかもしれません。
つまり
- 「業務への理解が得られていない」という社内環境の問題
- 「ECビジネスへのノウハウがない」という業務知識の問題
この2点があります。これは根底の部分では、ECへの知識という問題に結実していきます。
また、こうした知識不足は誤った固定観念を植え付けられているケースもあります。EC事業は2000年代には「よくはわからないけれど固定費があまりかからず費用も少なく売上をあげられる」といった刷り込みをされている世代もあります。また実施するとなると、関連する業務も幅広く、実際には多くの業務に関わる必要があります。しかし、なぜか担当は少ない人員配置で取組むということになりがちです。その結果、人員リソースが足りないという問題もおこります。
こうした問題は外部の力を借りてくることで伸展をみせるはずです。ECの業務には自社内で進めていく以外に、専門性を高める委託という選択肢もポピュラーな手段です。
実際に、ECサイトの構築という場面では、ウェブ制作会社に依頼したり、なんらかの力を借りたというサイトは少なくないでしょう。それと同じようなことがECサイトの運営でも可能です。むしろ、ECは専門化している業界でもあるので、ジョイントベンチャー的に取組んでいるサイトもあります。ま、それによって結果を出しているというパターンも少なくありません。
全く別の委託スタイルも
委託という点では、完全に商品の販売自体を委託してしまうという方法もあります。これは卸と小売りのような関係です。販売する商品を集めて売っているサイトは少なくありません。もともとAmazonのようなモール型ECもそうした性質の強いサイトでしたし、インターネットでの販売という面ではよくある選択肢と言えます。また、ある意味モール型ECは少しDIY傾向の強い小売りの集合とも言えます。
ただし、モールに限らずこうしたサイトと契約を結ぶ場合は分率や規約などには要注意です。本来は扱う商品によって変化するべきところですが、そうしたサイトの多くはそれぞれの納品物に対しそれを組んだ契約を交わしてくれるわけではありません。
また、ブランドを育てたいと考えている場合は、よく組む相手を考えてください。そうした面ではやはり自社でのEC事業を展開したほうがメリットは大きいでしょう。もちろん、こうした販売委託でECにチャネルを持つということで十分に利益を確保できることもありますので、全てを否定するものでもありません。要は相手次第といえます。
それでは、次からはは委託を考慮する必要がありそうな状況について見ていきましょう。
理由1ーデジタルマーケティングがわからない
知識の問題を埋めるには、知識を補完するしかありません。担当者がWEBについて学習し、ノウハウを独学で確立していくことも可能ですが、あまり効率的ではありません。また、その取得に割くためのリソースをどうやって捻出するか考えると現実的な方法ではありません。
ネットショッピングでは、通常の対面でのビジネスノウハウとは違う要素が研究されています。インターネットでのサービスを研究している、いわゆるデジタルマーケティングというものです。どのようにオンライン上でECサイトに集客し、購入までのプロセスを引出すかというものです。こうしたことは出費があっても、費用対効果を考えると、デジタルマーケティングを専門にしている会社に委託したほうが効率的な場合は少なくありません。
EC領域では、SEOと呼ばれる検索エンジンへの対策は必須です。また、ほかにもインターネットを利用したリスティング広告やSNS広告などについても運用にノウハウが必要です。集客するためによく利用されるTwitterやInstagramなどのSNSについても、個人的に使っている場合とは違い、基本的な知識を持っている必要もあります。また、そうしたツールで配信した情報の効果測定をして、分析していくことも重要です。
ECではメルマガによる顧客の繋ぎ止めと再購入への誘因が常套手段ですが、それについてまでも開封率をあげるノウハウなどがあります。また、文章や写真など専門的な領域の知識も少なくありません。こうしたことに加えて動画なども今では効果的に使わなければ売上につながらないといわれています。
そうなると現状を維持して管理することだけで精一杯になり、それ以上の余力はなくなってしまうことでしょう。
こうした場面が増えてくると、運営会社に委託したり、連携をとれる体制を持っていることは大きな強みになります。専門的なノウハウを提供してもらい、サポートを受けてこうしたシステムを安定した基盤に乗せることは、今のEC運営では欠かせません。
理由2−リソース不足でEC業務のタスクをこなせない
業務担当者が手一杯で、現状維持が精一杯という状況はよく起こります。しかし、人件費当りの効率を考えると人材の補完はなく、リソース不足に陥っていても、決まった人員でこなすしかない状況は、実はけっこう危険な状況です。担当の人員が辞めてしまったり、トラブルに巻き込まれると業務が破綻します。
個人のがんばりに頼る状態は、健全な業務体制を維持できなくなることに繋がる可能性が高いです。そのため、状況はよくあることと言いながら深刻でもあります。
一方で、リソースが確保できれば売上アップの機会は多くある可能性もあります。リソース不足で頭打ちになっているのであれば、解消したいところでしょう。
そこで問題になってくるのは、今はどこも人材が足りていないという状況です。採用したとしても新人であれば研修なども必要になり、そうした人材を育成する期間に、工数が不足する時間を補うのに時間が必要になってきます。
そうした問題を解決する手段の選択肢としても運営代行に委託するという方法があります。また、単純にリソース不足を解消するだけでなく、先にも記述している通り、ECのノウハウをもってフォローしてもらえるという部分もあります。
そう考えるとリソース不足の場合には委託するメリットは多いです。
ブランディングや企業イメージは委託でも守れるし作れる
一定数ですが、社外の人員に任せることに不安を覚えるという人は必ずいます。そうした人たちが懸念するのが、ブランディングなどのディレクションやイメージワークに関わることです。
これらの部分については、もちろん運営の委託を受ける代行会社の中でも向き不向きがあります。しかし、中にはむしろそうしたミッションを得意としている運営会社もあります。例えば私たち「かいな」もそうした分類に入ります。
また、こうしたブランディングの部分では、実際にプランはあっても実現できていないという企業も少なくありません。むしろ、ブランディングを実現するためにこうした業務を委託して、プランを共有しながら業務を進行させたほうが正解に接近しやすいと考えられます。もちろんそうした作業に長けている企業とパートナーシップを組むという必要条件はあります。
単純に発注→受託という関係ではデメリットも
ECサイトの売上の理想は2次曲線を描くことと言われています。しかし、その成果を出すことについて発注先の企業に任せてしまうだけでは、自社内にノウハウが集まりません。それでは規模が大きくなった場合には、何か変更を行う必要が出てくると費用の負担が大きくなりますし、企業の特徴も出しにくくなります。また、それぞれの持ち場範囲を守るだけでシナジーしないため、事業のふくらみはどうしても弱くなります。そうなると微妙なトラブルが発生しただけでも動きが悪くなっていきます。
理想は二人三脚とはいかないまでも、一緒に並走しながら運営できることです。実務もこなすコンサルタントとしての存在として委託できるのが理想的です。
そうすることで、ECサイトの運営に対し、お互いの専門性を注ぎ込んで特色を出しながら、全体が成長するプロジェクトとして進めていけます。また、そうしたプロジェクトの中でお互いの専門性を共有しあい、更なるステップを目指せるようになっていきます。
またこれはブランディングに置いても同様です。よりユーザーに愛されるブランドにしていく段階でECを運営するチーム内でのチームワークや熱気は必ず、結果に反映されていきます。いろんな提案を投げ合い、施策を実施していけるような環境があれば、そうした勢いがサイトの運営にも反映されていきますし、その中でよりよいパートナーシップを持ったチームビルディングが外部の企業ともできるのかが、成功のカギを握っているといってもいいでしょう。
運営代行については以下の記事も参考にしてみてください。