ECサイトで活用できるスマホ決済サービスの検討と導入

2020.11.02

スマートフォンユーザーが増えたことでインターネット人口が格段に増加しました。その結果、オンラインショップへのニーズが高まっているだけでなく、決済方法の種類もスマートフォンの環境に合わせて普及してきました。それでもまだまだ、スマホによる決済は、混沌とした状態といえます。ここではECに導入されるスマホ決済について改めて解説します。

スマホ決済の定義は難しい

ECサイトでユーザーそれぞれが利用する決済方法に対応することは、カート落ちを減らし、コンバージョン率をあげることに貢献します。そのため、決済方法を増やして取りこぼさないように対応していくことは、コンバージョン率向上に向けた対策の常套手段といえます。

そうした中で、ECに限らず。実店舗での支払いにおいても頻繁に耳にするようになってきたのが「スマホ決済」という言葉です。

言葉通り解釈するとすれば、スマートフォンで使える決済と考えるでしょう。それならば「スマートフォンでのECサイトの買い物はクレジットカードも使えるから、クレジットカードもスマホ決済に含まれるのか」なんて思った方は残念ながら不正解です。スマホ決済という場合、クレジットカードでの取引は含まれていません。

スマホ決済という場合、「スマートフォンに最適化した決済方法」と考えるのが自然です。その点、クレジットカードでの決済はスマートフォンでも利用できますが、特化したり、スマートフォンで使いやすい決済方法とはいえません。

スマートフォンを活用した決済方法の普及が進んでいる背景には国が進める「キャッスレス化の推進」があります。そこで多くの人が持っているスマートフォンを決済に活用する方法が次々と開発されてきました。

キャッシュレス決済は、中国を中心に現金を持たない流れが主流になってきており、日本でもそうした海外からの来訪者を狙う、いわゆるインバウンドによる経済の活性化を目的に普及が加速しています。キャッスレスでの決済という場合はクレジットカードも含まれ、ヨーロッパやアメリカではクレジットカードによる決済が普及しています。

世界的な規模で見てもクレジットカード決済はキャッスレス決済の主流ですが、AppleIDやAmazonのアカウントID、QRコードなどを使った決済方法にも需要があります。そうした流れの中でスマートフォン決済も登場し、クレジットカードと代引きでの決済で9割近くを埋めていた決済方法も、今や分散化が進んでいます。

クレジットカードは保持するために年齢制限などもあるため、スマートフォンほど誰もが持っているという状況にはなりえていません。そのため、クレジットカードは決済方法の広がりとして限界があります。

ECサイトを事業して運営している場合は、そこで、普及率が9割を超えるスマートフォンを決済に活用することで、ECサイトのカゴ落ち対策と、ユーザーの利便性向上が図れる可能性があります。

多くはスマートフォンの回線や固有性を決済の認証に利用する決済方法のこと

スマホ決済と定義する場合、スマートフォンの回線やインストールできるアプリを活用して認証し、決済できる仕組みのことを指します。中にはスマホのハード的機能を使ったお財布携帯のような非接触型決済もあります。

これは交通系電子マネーの機能をのせた携帯ですが、他にもApple PayやGoogle Payでも端末にタッチすることで支払いが可能です。

もしECでスマホ決済を導入するという場合、非接触型のスマホ決済についてはあまり導入を考慮しなくてもいいかもしれません。決済方法を増やすことは確かにコンバージョンに影響することですが、スマホとの非接触型認証となる場合、ユーザー側にリーダー(読み込み用の端末)が必要になります。

対応している決済代行会社もありますが、この方法はECというよりは実店舗に向けた決済方法といえます。こうした決済用端末の普及状況にもよりますが、スマートフォンでサイトを閲覧中に購入するという方法とは少し違い、実際にスマホでのECサイトからの買い物にとって手軽な決済方法ではありません。現時点では慌てて導入する必要は無いでしょう。店舗とWEBでは状況が違います。

ECサイトで注目するべき決済方法は主にQRコードを利用した決済です。特に2019年は多くの「〜Pay」と呼ばれる決済が登場し、乱立しました。

QRコードやバーコードを利用した決済が普及しているのは中国です。最も普及している「AliPay」というサービスでは小物から公共料金の支払いまで、あらゆる支払いを行うことができます。なんなら、お小遣いもAliPayで渡せるほど生活に浸透しています。

また、QRコードでの決済には2種類あります。

一つは、表示されるQRコードをスマートフォンのカメラで読み込んで、金額を入力して決済を完了させる「ユーザースキャン型」です。もう一つはユーザーがQRコードを表示させ、それを店舗側が読み取る「ストアスキャン型」です。

実際のところ、こうしたキャッシュレス化の流れによるスマホ決済はECサイトの普及している流れとは別のニーズから起こっています。そのため、必ずしもECサイトとの相性がいいとはいえません。しかし、ポイントの還元率や手数料が無料といった流れもあったため、急速に普及が進んだのも事実です。

「普段から利用している決済方法」で支払えると、購入の障壁が下がるのがECサイトでの買い物ですので、サイト運営者としては「可能であれば導入したい」ところです。

楽天PayやGoogle Payなどは複数の方法で利用することができ、必ずしもこうしたQRコード決済に縛られる必要がありません。ECサイトでの決済では、むしろ画像認証ではなく、それぞれのサービスアカウントと紐づいた形の決済方法の方が導入しやすい側面もあります。例えば、QRコードの読み取りについてはスマホでのブラウズ中には手順が少々ややこしくなり必ずしも利便性が高いとも言い切れません。

乱立する決済方法は今が過渡期

いわゆる「〜Pay」と呼ばれるものは、2016年頃から少しづつ登場し、昨年は爆発的に様々なPayが登場しました。その一方で、サービスのシステム自体にトラブルも多く、初期の段階から淘汰されています。

また、こうした決済サービスは、銀行口座と直接紐付けるデビット機能やクレジットカードなどと連携する、あるいはチャージして利用する仕組みになっています。そこで、その認証の甘いサービスに目をつけた犯罪集団などにより、口座から現金を抜くための踏み台にされるなど、日本では減速する材料も少なくありません。

それでもLine PayやPayPay、auPayなどはユーザーの拡大を計っています。PayPayはソフトバンクによる決済サービスですが、それぞれスマホとの連携が強いサービスが生き残って行きそうです。

ECサイトで導入するという場合、サイトの変更などが必要になる部分もあるので、決済代行会社で対応した場合も簡単に導入できないケースもあります。特に、QRコードのみで進行するようなサービスの場合はアクションが増え、また、前述した通り、スマホ閲覧中は少し手間が増えるなどの問題もあるため、もしかすると、それほどコンバージョンに影響を与えないケースも考えられます。

そのため、ここは基本に帰って、どういったユーザーのニーズが商品にあるのかといったことを分析して、導入を検討するのでも構わないでしょう。それでも、スマホ決済の体制が固まり、状況が見えるようであれば、いつでも導入できるようにスマホ決済の動向には、いつも目を光らせておくことが良いでしょう。

【参考】ECサイトは決済代行会社を利用して決済方法を増やす

ECに導入するなら知っておきたい手数料の相場

様々な決済方法を増やし、いろんな層のユーザーにアプローチするのはECサイトにとって理想的です。ですが、手数料が高く、収益を圧迫したり、管理が難しくなる可能性もあるので気軽に増やすわけにも行きません。特に手数料率についてはよく見ておく必要があります。

実際のところ、スマホ決済では、最近までは無料のものが多く、PayPayは2020年9月30日までは無料でした。

決済手数料自体は、決済代行会社によってわずかに料率は変化します。また公表していないものも少なくないため、詳細はしっかりと問い合わせてください。

下はあくまで参考です。

  • PayPay 1.99~2.99%(基本的に相談ベース)
  • Line Pay  無料(2021年7/31まで)〜5%
  • au Pay 3.25%(現時点では無料)

といった感じで、実はまだしっかりと定まっていないのが現状です。それぞれ、サービスが乱立しているので、それに伴い他の出方を見ています。

また、Google PayやApple Payではそれぞれのサービスに紐づけているクレジットカードによっても料率が変わります。概ね3〜4%が決済手数料として発生しています。

こうしたサービスは本来、ユーザー数が多くなれば手数料自体は安定し、ある一定のところで落ち着く傾向にあります。現状は条件によっては現時点では手数料が発生しないサービスもあります。また、実店舗もある企業では、ECと実店舗の支払いチャネルを一致させることでユーザーの壁を低くする効果も期待できるかもしれません。

もし、実店舗での販売にスマホ決済のニーズが高いという場合は、実店舗とECを決済方法を統一することでシームレスにお互いのメリットを補えるような体制を構築することにスマホ決済が活用できる可能性もあります。

スマホ決済自体は実店舗での活用を意識している部分も大きいので、導入することで、ブランド全体の底上げを狙うといった戦略に活用を検討してもいいでしょう。今後はオムニチャネル化などのニーズはユーザー側から各ブランドへも高まっていくと考えられます。そうしたケースではぜひ決済手段として検討して、ECサイトの効果を最大化させてください。

PAGE TOP
メールで
お問合せ
ZOOMで
無料相談
お役立ち
資料DL

ブランディング会社がつくった
共創ECプラットフォーム