決済代行会社はECサイトの運営を進めるうえで重要な役割を果たしています。その中でも決済手数料は必ず発生してくるため、会社を選択する上で重要な基準といってもいいでしょう。決済代行会社を選択する上で、ここでは決済手数料とその他の要素について解説しています。
Contents
どういった構築方法でECサイトを作ったとしても、なんらかの決済サービスを利用する以上は決済手数料を支払わずに運営していくことは困難です。銀行振込のみに対応し手数料を顧客に負担してもらうなどすれば、実質的な決済手数料は発生しませんが、振込確認などの手間をコストに換算すると、すべてのECサイトで利用できる手段とはいえません。
つまり、ECサイトを運営していく以上どのようにしても決済手数料とつき合っていくしかありません。ネットショップの売上にともなって発生する必要な費用と考えておく必要があります。そこで問題になってくるのは決済手数料がどれくらい発生するのかということです。そして、まずは最初の構築時に決済手数料のシステムを決めておかねばならないということになります。
決められた決済方法の範囲で行うことの多いASPでは、決済手数料の選択権がほぼありません。実際のところ、最初期から決済代行会社に依頼して構築するようなシステムを選んだとしても詳しくそれぞれの代行会社が持つ機能や状況を確認してから代行会社を選ぶことは、単独で構築していたり、決済にあまり詳しくない制作会社に依頼したようなケースでは現実的には難しいかもしれません。
ECパッケージなどを利用して構築した場合は、各種の決済サービスを一つの契約で利用出来る決済代行会社ととりあえずは契約するという流れになります。
実際のところ、決済代行会社で提供している決済サービス全体を見渡すと、決済手数料は複雑です。複数の決済手段が用意されてるからです。何かの項目で低くなっていても、他の項目では高めになっているなど、絶妙にバランスを取っています。
しかし、個別に契約を進めるほうがいいとは考えないほうが得策です。そのようにした場合、以下のような問題に突き当たるかもしれません。
特に、直接だから安くなるということはあまりありません。もちろん莫大な取引量があるとなれば別ですが、ローンチ直後のサイトでそれを考慮してもらうことはどういった背景があったとしても非現実的です。また、初期に決済方法の導入に時間をかけすぎては販売機会を失う場面も多くなります。
入金や請求のタイミングもバラバラになると、とても作業は煩雑になります。管理にも当然手間がかかってくるので、その分の工数を考える必要もあります。やはり決済代行会社と契約する方法がもっとも現実的ですし、合理的でもあります。
そしてもちろん、決済方法の多様化は著しいものです。クレジットカード、キャリア、ID、電子マネー、代引き、コンビニ決済などのBtoC向けだけでなくBtoBに特化した完全にビジネス向けの決済もあります。また、クレジットカードにも複数のブランドがあり、電子マネーやIDによる決済もいろんなサービスが連携できるなど複雑さを増しています。
決済代行会社はECサイト運営にはよくも悪くも欠かせないシステムのようなものともいえます。こちらの記事でも解説しているので、あわせてお読みください。
決済代行会社は世の中に数多くあります。そのため、比較する基準は難しいです。なかにはインターネット上では、それぞれの事業者によって対応可能な決済手段は公開していても料率は非公開にしている企業もあります。これは大手の資本が入っている場合であっても同様です。そのため、しっかりと問合せをして見積もりの上で契約を進めることが重要です。
ひとつの基準となるのはクレジットカードの料率です。もっとも利用頻度の多い決済方法ですのでBtoCをメインにして行うスタンダードなオンラインショップであれば、目安にするのはこのクレジットカードの料率となるでしょう。
料率は0.01%でも安いほうが良いです。たかが0.01%といっても売上が100万で100円、1000万で1000円と金額にともなって上昇していくことを忘れないでください。ただし、概ね相場があるので、無茶な数字を要求しても決められなくなります。現在は3.25%あたりが相場です。
また、さまざまなカード会社があり、それぞれで料率が変わってくるケースもあります。VisaやMasterでの支払いが多いのでそこをメインに考慮しますが、他のカード利用が極端に高い手数料設定では少し問題があります。
もう一つ、重要なのは金額以外のことです。しっかりと継続した関係を維持出来るサービス体系を持っているかは、料率と同じくらい重要です。現在は新規でインターネット関連事業が始まることも多いのでこの点は、継続性をもってECサイト運営を考えている場合はとても重要です。
以前、Spikeというサービスが手数料を決済金額月額合計100万円までは0円を銘打って始められました。決済手数料が無料化されるという情報は大きなインパクトを生みましたが結局2018年にサービスを終了しています。このようなことになると他の決済代行会社への変更を余儀なくされます。今まで考慮していなかった経費を考えなければいけないので、影響も少なくありません。
継続する中で、売上の上昇にともなって料率について相談することは可能なのかといったことも決定前の候補企業にしっかり確認してみるのも良いでしょう。営業担当がついているような決済代行会社では、最初期の段階から各項目の料率について、見込みをつけて料率のパーセンテージを設定しているようなケースも存在します。
ただし、かといって夢のように下がるわけではありません。過度な期待は禁物ですし、関係を悪くするだけですので注意しましょう。基本的には双方にメリットのある落としどころを見込んで交渉することが肝心です。
決済代行会社のそれぞれの決済に関わる料金の設定は絶妙です。項目によっては購入代金によって段階的に引き上げられるものや、1回の決済により金額が決まっているものもあります。それぞれ相場がある、というよりはコンビニ決済や代金引換えなど最低限のシステム使用料が決まっている場合もありますので、各社横並びの場合もあります。こうしたものはコンビニや運送会社が最初に設定しているので覆すことはできません。電子マネー等も同様のことがいえます。
全ての決済手数料を安くしたいというのは実際のところ難しいものがあります。そのため、まずは十分に関係のありそうな決済方法についてしっかり確認することが重要です。実際に自社のサイトで利用されない決済方法、あるいは導入予定のない決済方法の手数料がいくら安価に設定されていたとしても旨味はまったくありません。
まずは関係のありそうな項目についてしっかり確認してください。
代行会社を選択する上で決済手数料だけで選択するのは良い手とはいえません。しっかりとセキュリティについて考慮されているかを確認してください。「簡単な手続きで利用開始できる」といったうたい文句は状況によっては要注意です。それだけ本人確認などのがあまいのかもしれません。
決済代行会社のセキュリティは非常に重要です。最近ではクレジットカード情報の非保持などで、決済代行会社のECにおける役割は決済とセキュリティを握る傾向があります。もし不祥事をおこした場合、火の粉がかかる可能性もあります。
もし決済代行会社がシステムに障害を起せば、決済に関わるシステムを利用出来なくなり、場合によっては連鎖的に販売ができなくなる可能性さえあります。実店舗であれば現金ですぐにやり取りできますが、ECサイトではそうはいきません。
何かがおこる前に、妖しい体系の企業とは付き合いは慎重にするのがよいでしょう。社会的な信用を守るためにも金額以外の要素を十分に考慮したほうがいいでしょう。自身だけでなくユーザーの金銭に関わることでもありますし、こうした部分でのリスクへの対処も十分に考慮すべきです。
また、サポート体制がしっかりしている企業は、安心して利用できます。金銭が関わることは緊急性の高い事象が発生することもあります。安心してユーザーに利用してもらうためにもサポートのしっかりとした決済代行会社のなかから選択することが賢明です。
最近ではクレジットカード情報の非保持化がECサイトに求められています。そのため、決済代行会社は、リンクで決済代行会社のサイト内で決済をおこなったり、トークンとよばれる文字列にクレジットカード情報を変換して決済をおこなうなど、しっかりとしたセキュリティの技術を持って運営していることも選択の要因として重要です。非保持化については以下の記事でも説明していますが、犯罪に巻き込まれないためにも重要です。
【参考】ECサイトでのクレジットカード情報の非保持は情報漏洩対策の基本
トータルして考えると、手数料率は重要なことですが段階的に見直すことができれば、さほど問題ないともいえます。また多くの決済代行会社ではたくさんの支払い方法を網羅しています。幅広いユーザーを取入れたいと考えている商品を販売するのであれば、決済の種類の多さは武器になりますが、商品の傾向によっては必要のない決済方法も出てきます。そのため、決済方法の数だけでなく、基本的に質を問うことが大事です。
これは「関係のある項目をしっかり確認する」ということにも通じますが、まずは何が関係ありそうなのか、どういった決済方法があるのかも事前に把握しておくことはやはり重要といえます。
【参考】ECサイトの決済を分類ごとに解説〜それぞれにあった決済方法はどれかを探ろう
また、目的にそった決済代行会社を選択することは忘れないでください。「BtoBをメインにしよう」と考えているのに、電子マネーやID決済が充実していてもユーザーのニーズを満たせません。結局のところ決済手段はユーザーのニーズを満たすためにあるわけですから、それぞれの利用方法に合わせた決済方法に対応している企業を選んで、それぞれしっかりと交渉して導入を進めることが基本的な姿勢といえます。