ECサイトのサービスを比較する時〜判断材料の考え方
2020.05.18
多くの企業だけでなく個人でもECサイトを開設する時代になりました。そして、それに関わるサービスも多岐に渡ります。いろいろな企業がいろんなサービスを工夫を凝らして提供しています。ECサイトを構築していくということは担当者レベルでいえば、それらをどう選ぶかということが重要になってきています。また、すでに運営していくなかで新たなサービスを取り込んだり、乗り換えなどを検討することもあるでしょう。
新たなサービスが次々と登場するなかで、いろいろ目移りしてしまうかもしれません。実際にサービスの比較を一覧にしたサイトなどもありますが、それを見せられても「結局、自分は何を使えばいいのか??」と迷って決められないこともあるでしょう。ここでは、主にそうした方のためにASPを中心としたサービスを選択する時、それぞれを比較する時の考え方を解説します。
CONTENS
比較するときの判断基準
ECサイトに関わるサービスは構築に大きく関わるASPやパッケージなどを選ぶというところから始まります。また、運営していくと決済代行サービスなどの検討が必要になってくるかもしれません。ECの肝ともいえる配送をサポートするサービスやその他オプションを提供するサービスもあります。
常に何かアクションをおこすと、複数の選択肢の中から何かを選ぶというシチューエーションになる場面が多くなります。
まずはどういったことが比較のポイントになるのか整理しておきましょう。主に比較のパラメーターとして取り上げられる項目は以下のようなことです。
- コスト
- 開発や導入の期間
- 機能やサービスの豊富さ、手厚さ
- 自由度
- メンテナンス
「コスト」はもっともわかりやすく、比較の基準にしやすい項目です。この場合、考えなければいけないのは、「開発にかかわる費用」と「運営継続に関わる費用」という二つのコストです。
継続に関わることはなかなか最初から見えないかもしれません。継続にかかわる費用は、他のパラメーターと連動しているとも考えられますが、始めて見ないと見えないことも多くあります。さしあたって月額費用や手数料などを考え、そこから人件費などを考えるのが妥当です。
ECサイトの開発や、サービスを実際に開始するまでには「期間」が必要です。スタート出来るまでECサイトは売上げをあげることができません。
時間はコストとも言えますが、これをわけて考えておいたほうが選択する際にはわかりやすいでしょう。計画から開始までにどの程度の期間が必要かも選択するASPやパッケージなどに大きく関わります。数あるECに関わるサービスでも同様です。申し込んでからすぐに利用出来るとは限りません。期間を置いて利用開始となるものも多くあります。
「機能」や「サービス内容」は手軽さや拡張性に関係してきます。また、もう一つは簡便さにも関係します。必要な機能がなければ、運用面などでカバーしていかなければいけない場面や、そもそもビジネス的に良いアイディアを思いついても実行できないということになります。
必要な機能やサービスはそれぞれのECサイトによっても違います。何が自社のサイトに必要かじっくり考える必要があるかもしれません。逆にあまり多機能だと、構築が難しいということもおきるかもしれません。
ECサイトは企業や商品によって、求められる機能やデザインなどは様々です。高い「自由度」があれば、企業それぞれの状況に合わせてネットショップを構築することで、ストレスを減らし、魅力をアピールすることについて大きな力を発揮するでしょう。他のシステムと連携させたり、運用に合わせた構築なども考えることができるかもしれません。
一方で、自由度は直接費用に関係してきます。また、自由には責任が伴うのはインターネットの世界でも同じかもしれません。自由度が高いことで、いろいろと気にしなければならない部分も増えます。もちろん構築にもそれだけ手間が増える可能性が高くなります。
「メンテナンス」はECサイトにとって、常につきまとう問題です。セキュリティなどの技術は常に更新されつづけています。そういったことに常に対応し、自分だけでなく利用者の安全を守ることは、商業的なことだけでなく、社会的にもとても重要なことといえます。
ASPであれば、そういった心配は少ないでしょう。自身でサーバを構築して行なうのであれば、責任の所在は自分にあり、アップデートの作業が業務としてのしかかってきます。更新は簡単に行なえるケースもありますが、不具合が発生した場合はその対処が必要です。
また、比較検討する際に、デザインや利用に関わる部分では、スマホ対応は現在では必須です。多くのユーザーはスマホでネットショッピングをおこなっているのが現状です。その対応をしないということは考えられません。スマホでのデザインなどに特別に別途対応することで料金が発生するようなサービスについては、それだけで利用に対して疑問をつけてもいいかもしれません。もちろん、やりたい内容次第でどうしても技術的に別途対応が必要なケースもありますので、何を行なうかということによりますが スマホについての視点は抜けないようにしたいものです。
初期費用と運営の費用
初期の構築に関わる費用と運営に関わる費用は交わる部分もありますが、別のものとして考えておく必要があります。初期費用はイニシャルコスト、運営費用はランニングコストなどと訳されて使用されていますが、まず全く何かをかけずに物事を成し遂げることはできません。
どちらも低コストにこだわりすぎると、それなりのものしかできない可能性があります。とはいえ、無駄に予算を投入するのも無意味です。いずれにせよ設計が大事といえます。「一体何をしたいのか」という基本を抑えてそれぞれの費用を比較してみましょう。
ASPは無料で利用できるものから、クラウドECと呼ばれるかなり大規模に構築可能なサービスまで幅広くあります。とりあえずのスタートであれば価格の安いASPのほうが立ち上げやすいという側面があります。これは利用料金の安いサービスでは選択肢がなく、あまり作り込めないこととも関係しています。
もし、専門家に頼んだとしても、できることは限られていることも多く、費用は安く済むでしょう。しかし、安易に費用を抑えることは、目的の達成に繋がらない可能性もあることを覚えておきましょう。ある程度予算は組む必要があります。
構築に費用が発生する場合は、公開してユーザーに利用ができるまでにかかる時間も必要だということを認識しておきましょう。
運営費の考え方
運営・運用に関わる費用は続ける限り、発生します。こうした費用はそのコストに見合って、収益が上がるのであれば問題はあまりありません。また、状況は生産力を考えた場合に販売量が限られるといった場合もありますし、右肩上がりで受注を増やしていきたいという場合もあり、企業によって、事情は異なっています。手数料や月額に対する考え方は一概にいえません。しかし、継続して利用していくのであれば、あまり売上げに変動して利用料が上昇するようなサービスの利用は避けたいところです。
月額が低く、導入しやすいことが全てではありません。多少、利用料が高くても、状況や、描いているビジョンによっては、合致するなら選択肢に入れて考えてみましょう。運営の費用を考える場合は継続した視点で考えることが重要です。また、安易に削ることを考えると、人的な工数が増えることもあります。変更する場合は運営のコストに慎重になる必要があります。
「タダより高いものはない」なんてことも
最初に手軽に無料ASPを利用するのは、必ずしもオススメしません。もちろん「少しやってみたい」というケースでは選択肢として選ぶことも悪くはありません。構築も難しさがなく、さっと始めるのであればいいかもしれませんが、溜め込んだ顧客情報の移行など、思いがけないところで大変な思いをする可能性があります。インターネットが一般化してから、何事も無料でという風潮がありますが、無料にできる仕組みが背後にあるということを考慮する必要があります。その仕組みが落とし穴になる可能性もあります。
もし気になるASPがあるのであれば、無料で利用できる期間などがないか調べてみてもいいかもしれません。その間に構築が完了しなくとも、そのASPの傾向は掴むことができます。無料の場合、受注に対して手数料がそれなりのパーセンテージで発生するように設定されています。なぜ、そのサービスを運営する会社が無料で提供できるかといったことも考えてみましょう。
運営を考えて選択するということも重要です。ECサイトを作る時に運営を意識する重要性についての解説も以下のリンクの記事で書いていますので、参考にしてみてください。
独自性と拡張性
インターネットは世界中からアクセスできます。一方で、一つの関連した言葉に同業者が並びます。商店街でいえば、ライバルの店舗が集まって軒を並べている状態ともいえます。そうした状況を考えると、わかりやすく閲覧者に対してオリジナリティを提示出来ることは間違いなくメリットです。
また、商品によって消費者のサイト内での動き方に傾向があることもあります。どういった商品と見比べながら購入しているかなど、傾向を探ることで分析に活かせることも重要です。そうした情報を考慮しながらECサイトは日々アップデートしていくことが成功に繋がります。こうした情報が取れる機能がある、あるいは組み込めるということは独自性の高いサイト作りに必要です。デザインだけでなく、構造も含めて、自身の企業の独自性に合わせたページ遷移を作ることができるかなどを考えてみましょう。
また、機能を比較するうえでも、たくさんあるということよりも、自分のやりたいことにフィットしそうな機能はあるかという視点が必ず必要です。サービス同士を見比べていて迷った場合は必ず基本方針を思い出してください。
運営していくとわかる拡張の必要性
最初の段階で、「あれもこれもできる」ということは重要ではないかもしれません。しかし、状況に合わせてECサイトは構築していくものが増えてくる傾向があります。それは単純に閲覧者の着地を促すランディングページかもしれませんし、ニーズのあるお客さんの回遊を促す情報ページかもしれません。お客さんの購入手順の簡略化や、購入ボタンの位置や表示の仕方かもしれません。そんな場合に拡張性の大きいサービスは活きてきます。
最初は使わないかもしれませんが、伸びしろのあるサービスにはメリットがあります。とはいえ、そうしたものの中には、全く必要ない機能も企業によってはあるため、一概には言えません。しかし、ある程度長く使うという視点だけは比較検討する際にもっておきたいところです。
継続性はあるのか
なんらかのサービスを利用する場合に、継続性はあるのかを十分に考えて選択しましょう。ECサイトの運営は継続してこそ結果がでます。その前にサービスが終了してしまうようでは元も子もありません。
アップデート
パッケージやフルスクラッチなどで自由度を求めてECサイトを構築した場合は、継続してアップデートやトラブルシュートに対して時間や予算を投入出来るかを考えておく必要があります。パッケージやフルスクラッチでの構築は初期に大きな費用が発生しますが、何かを変更する場合にもその手間がある程度かかります。アップデートなどが入ればそうした対応を行なうことで、フォームが崩れたりすることもままあるでしょう。
もちろん、そうした苦労によってサイト構築の自由度を手に入れているため、メリットも十分にあります。しかし、メンテナンスについてはかならず考慮する必要があります。時間や人的資源も含めて、導入できる環境か、社内の状況なども踏まえて比較検討する必要があります。
また、以下のページでASPについて企業向けのものを紹介しています。こちらもぜひ参考にしてください。
積算の根拠と費用対効果を考える
ECサイトの構築や運営をしていくにあたって、比較検討する場面は他にも多くあります。それぞれ、費用に関わってくる項目も多くあります。運営で発生する費用については先ほども述べましたが、最適な解が見え難いことも多くあります。また、そうしたものは避け難いこともあります。
そうした場合に必要なのは、なぜそうした金額が必要なのかを考えることです。つまり積算の根拠を考えてみることが大事です。
また、費用対効果を考えることも重要です。もしその効果を考えた場合、一件コストに見えることも、そこへ予算を投入することで、よりリターンが得られる可能性があります。
たとえば、ECサイトの構築や運営をサポートする企業への外注などを考える場合でも同様です。ECサイトを運営していくと、本来の業務もある中でECサイトも担当しているというケースも多くあります。より問題点は専門的になっていくため、技術的にはだんだんと深い知識が求められるようになってきます。また、業務的にはあるいは人的資源的に追いつかないということが発生してきます。こうした状況であれば、サポートする企業を比較して選択しパートナーシップを組むことが出来たらより、効果的にプロフェッショナルの力を自社のECサイトに反映できます。
こうした専門の企業と最初からマッチアップするという方法もあります。そのほうが、いろいろなサービスを実際に経験していることも多いため、比較検討するわずらわしさを少なくし、失敗するリスクを低くすることができます。
そうしたサポート企業を比較して選び出す時に重要なのは、作ったら終わりということではなく、「運営を一緒に行なってくれるか」「お互いに建設的に意見を出しながら高めていけるか」ということが可能かどうかということです。
また、予算があるからと丸投げしたり、サイトの制作だけを依頼してもなかなか結果には繋がりません。実際にはそれぞれの企業ごとに事情やアピールポイントがあるからです。加えて、運営していくなかで、さまざまな施策が打てるのか、それぞれの状況に合わせて変化し、提案や業務を遂行できる関係になれるかが重要です。
集客力をECサイトにつけて、収益アップにつなげることができるパートナーを選ぶことはとても重要です。そのためには、二人三脚で自社のサイトに関わり、高めていけるパートナーを選択しましょう。
またECサイトのサービスそのものについては下記の記事も参考にしてください。