ECサイトはブランディングでシェアをとるその施策を解説
2020.06.02
ECサイトへの企業内の立ち位置はさまざまです。しかし、その中でも共通している存在意義は売上をあげることにあることは間違いないでしょう。売上をあげるにはライバル企業との競争に打ち勝ち市場内のシェアを広げていかなければいけません。
ここではECサイトでシェアを獲得していくために、その方針の建て方や、ECサイトを通してブランドを確立し、マーケットそのものを開拓するブランディングについてを中心に解説します。
CONTENS
EC事業こそライバル企業に差を付けよう
同業者とのシェア争いは、限られたマーケット内での顧客の奪いあいです。このシェア争いが売上を左右しますし、シビアです。そういった意味では確実に販売力を上げてライバル企業のシェアを奪うことに躍起にならざるを得ません。
そういった場合の戦略にはどんなものがあるでしょうか。
- 価格を安くする「価格競争」
- 広告なども含めてプロモーションをして皆に知ってもらう「露出戦略」
- 品質などをしっかりと認知してもらい消費者をファン化していくブランディング
などがあります。どれもマーケティングの手法といえますが、商品の性質などによって市場内で購入してもらうターゲットは決まってきます。
こうした点はEC事業であっても意識することでしょう。
しかし、それだけではなく、個性をアピールしやすいECサイトでの売上こそ、独自性を発揮して差別化を計りライバル企業に差をつけるチャンスの場といえます。そこでは包括的なデザインへの取り組みを行いブランドのアピールをする作業がものをいいます。つまりブランディング の出番です。
ブランディング を実施すれば、既存のマーケットのシェアだけでなく、自らのブランドが手動するあらたなマーケットの全シェアを獲得できるようになります。
まずは自己分析をしてみよう
もちろん業界ごとでそれぞれ実状があり、違いがあります。自社がシェア争いの中でどういったポジションにあるかといったことで、とれる戦略や考え方は変わってきます。追いかける立場としてまずどういったパターンがあるか考えてみましょう。
ECという視点で追う立場としては大きく分けると4つのパターンが考えられます。
①事業規模は大きく全体の売上はシェアトップだけれど、IT化が遅れている。
②いつもリーディングカンパニーの後塵を拝している万年2位パターン
③1や2の集団に入れず、遅れている。上位に食い込みたい
④新規参入
①のパターンは老舗に多く、企業全体にECの意識が低いパターンです。そもそも全体でのシェアはあるので、既存の社員のECへの危機意識は高くありません。②のパターンはどうしても最大手の存在が気になり、オリジナリティを発揮できず、2番煎じ感があり、打破できないパターンです。③は市場自体は大きいけれど、それなりに歴史のある商品などでそもそもライバルが多い環境にあることが多いでしょう。そして④は③のさらに後発にいるといえます。何もかもがこれからという状況です。
追う立場の戦略は支流を広げること
認知について考えてみると、後発は不利な部分があります。知名度の差は埋めるのが大変です。広告戦略は手っ取り早い方法ですが資金が必要です。ここにあてはまるパターンとしては③と④が該当します。しかし、インターネット上であれば特徴をしっかりと提示することで、これを挽回するチャンスは十分にあることも事実です。
追う立場が取る戦略の基本は枝を育てることです。「幹を太くしていくのはその後から」と考えてみてください。
まずは日に当たるところへしっかりと葉を出していくことを考える必要があります。すでにどこかで太くなった幹をいきなり奪うことは難しいことです。しかしインターネット上であれば、どこかに自分だけが思い切り枝を伸ばすスペースは発見できるはずです。
マーケティングの鋭化とブランディングで勝負しよう
ご理解いただいていることと思いますが、枝や葉というのはあくまでもたとえです。もちろん観葉植物の育て方ではありません。
この場合、枝は特定のマーケットのことを指します。インターネットは、一本の大きな木が枝分かれしている状態に似ています。大きく検索されやすいキーワードから細かく枝分かれしていきます。それは例えば、「動物→ほ乳類→犬→秋田犬→白い秋田犬」などのように細かく検索されることがあります。
インターネット上の集客で重要なことは、検索順位をあげることですが、競合がいる場合は検索され易い言葉で闇雲に検索順位をあげていくことは難しいです。特にシェア上位を走る他者のECサイトがある場合は、太い幹になるようなワードはガッチリ抱え込んでいるのでいきなりそこでのし上がるのは困難です。
例えば「犬」に当たるような一般的に知られている人気のある語で検索順位をあげることは困難です。そこで、周辺にある自社の得意なことをしっかりと提示していきます。例えば「犬 首輪」「白 秋田犬」などのようなことを繰り返しアピールします。
マーケット内でもさらにマーケットを絞って打ち出すことで、そのワードと自社のECサイトとの結び付きを強くしていきます。そうした枝がしっかりと伸ばすことで、そのワードに結びつくシェアを確実にしていくことです。そうした作業を積み重ねて、自社のブランディングを進めることで、サーチエンジンからのECサイトに対する評価を確実にあげていきましょう。つまり、「白い秋田犬」で確実に検索順位の1位を取りシェアを確立するのです。
結果的には、ユーザー検索数の多いワードに対しても表示順位は上がっていきます。「白い秋田犬」で高い評価を得れば「秋田犬」でも上位を狙えるようになってきます。このようにECサイトを使ったブランディングを進めることが結果的にはライバル企業とのシェアの差を埋めることに繋がります。
こうしたキーワードに対してしっかりとコンセプトを持って挑むことが重要です。
ブランディングはシェア争いだけでなく市場も開拓できる
ブランディングがうまくいけばシェアを争うことだけでなく、新たなユーザーをそのマーケットに引き込むことにも繋がるという話は先ほど述べています。ユーザーからファンになってもらうことで、口コミを広げて新たなユーザーを生むことに繋がっていきます。
単純にターゲットを決めてそのターゲットになるユーザーに向けてマーケティングし、買ってもらうことを考えていくとシェアの奪い合いに行き着きます。そのため新たな層へのアプローチをすることは、事業を進めていく上で常に必要不可欠です。そうしたことがブランディングを進めることで圧倒的に有利になっていくことは確かです。
最初のうちはすべてを追わないことも重要
ECサイトに限らず、売上を競い始めると、すべてのマーケットニーズを満たして全部取りにいこうという発想になりがちです。最終的な目標としてはそれで問題ありません。しかし、その過程の中でいきなり全部を取りにいくのでは、先行している評価の高いECサイトには追いつくのは難しいことです。
つまり、最初のうちは取捨選択が必要です。可能性のある枝が複数あるのであれば、いきなり全てを育てることは困難です。また、ブランディングとしてもイメージが弱くなる可能性があります。ただし、取り払う必要はありません。十分に特化した部分が育った段階で次の枝に取りかかりましょう。
また、こうした作業は自社の強みを深く掘り下げることでもあります。強みのあることをどんどん押し出していけるのが、ECサイトのメリットです。強みに関わる事柄について掘り下げることはそのままサイトの力になります。
ECサイトへの社内認知を広げよう
①や②のパターンでは、ECサイトの存在や意味がそもそも十分に知られていないこともあります。しかし、もしブランディングの組み立てやマーケットを絞っていく施策に対して社内認知が低ければ、リアルな市場とのイメージがチグハグなことになっていきます。それではブランディングは成功しません。結果的に、目的は達成できず、シェアの拡大も難しくなります。
また社内認知は円滑な運営にとっても重要です。ECサイトはそれだけで自己完結している存在ではないので、実際の業務との連携は売上をあげてシェアを伸ばすためには必要不可欠な要素です。また、問合せ対応や発送業務などECサイトの基本的なサービスレベルをあげることはブランディングやマーケティング以前にサイトの基本的な認知をあげることにとっては重要な要素です。
これに加えてECサイトの運営には予算も必ず必要です。何もせずに売上があがるというわけではないので、予算確保においても社内での認知は必須といえるでしょう。
そもそも社内の認知向上はECサイト運営の基本的なこととして捉えておく必要がありますが、ECサイト運営者にとっては、自社のECサイトと触れ合うことが日常なので、その他のスタッフとはギャップがあります。
そうしたギャップがあることを認識しておくと、認知向上の重要性は理解しやすいでしょう。
【参考】従業員が会社のブランドをつくる!「インナーブランディング」について
ポイントは集客できるサイト構築
ブランディングやマーケティングを考えたECサイト運営といきなり聞いてもあまりピンと来ていないかもしれません。持ち味を全面に打ち出すといっても具体的にはどうすればいいのか、わからないという状況になっているかもしれません。
要は強みを打ち出して集客に繋げることのできるサイトを作ろうということが戦略の出口です。
しっかりと強みになっている検索ワードを分析して、その周辺にあるキーワードを掘り下げたページを制作していくことです。
サイト全体がその検索ワードに対し、検索流入をとれる状態を積み上げていきます。カテゴリごとにそうしたワードを分析して、構築していくことが重要です。細かいワードそれぞれは枝の部分です。枝を構成する関連キーワードに関わるページを作ることでしっかり検索順位をあげていくことができれば、本丸となるキーワードにも次第に反映していきます。流入が増やせれば、次第と売上に反映されていきます。
プロの力を使って構築することでメリットも多い
こうした作業には、実際には手間と知識が必要になってきます。もしかしたら社内の強みを分析するだけで、作業は手一杯になってしまうかもしれませんし、強みをどう打ち出すかということで手が進まなくなることもあります。
そういった場合には、それに関わる専門家に頼る方法もあります。最近のカートASPは初心者でも簡単にECサイトを作れるものが増えています。しかし、一歩踏み込んでみると意外なほど小回りが効かず、思ったように仕上げるのは困難です。そのため、やはりどこかで専門家の力を借りた方が結果的に効率的といえます。
とはいっても、すべて任せきりにしては、結果の出るサイトにはならない可能性があります。インターネットのページを作るだけということでは、こうした施策の面で結果につなげることはなかなか難しいといえます。運営で足りないところをお互いに補いながら進めることのできるパートナーシップが組めれば、専門のスタッフを探して直接雇用するコストもかからず、サイトのサイクルを大きく回すことへの可能性を広げることができます。
ブランディングを実現するには必ず社内のスタッフの力が必要ですが、それを組み立てるノウハウについては、それ専門のスタッフのほうが有利です。また、サイト構造やSEO対策など、通常業務とはかけ離れた知識が必要なのは、担当しているスタッフの方には身にしみているのではないでしょうか。
そこでもし運営・運用でブランディングを意識しながらともに走れる専門家の力があれば作業の速度は劇的にかわって来るはずです。
それぞれのケースで必要なものは違い、物事は流動的です。単純な発注→納品という関係ではなく、一つのECサイトを共同の成果として分かち合えるパートナーがいれば、シェア獲得や売上アップという点でもECサイトの成果につながっていくことでしょう。
ECから始めるブランディング
ブランディング は何もECサイトにかぎったことではなく、その商品や企業にとって全体的にしていくものです。しかし、そのなかでも ECサイトでブランディング を行うということがもっとも相性がよく取り組みの端緒にし易い部分もあります。
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