ECサイトの運営はオペレーションを作業別に分類して効率化する
2020.08.17
ECサイト運営にはたくさんの業務があります。幅広い業務をただ漫然とこなしていると、だんだんと担当者は業務を圧迫されていき時間が無くなっていきます。
そうした状況を回避するため、まずはオペレーションを分類わけすることで、作業内容の性質を理解し、対策を考えることが効率化の第一歩です。
ここではECサイト運営のオペレーションについて解説します。
CONTENS
ECサイトの業務分類は効率化の第一歩
人員を増員するのは、どんな産業のどういった業務であれコストのかかることなので慎重にならざるを得ません。これはEC業務に限ったことではありません。
その中でも自社でのECサイトの業務は堅実に続けていくことができれば、どうしても人の手が足りなくなっていきます。その点についてはBtoB、BtoCなどメインにする客層なども関係ありません。
どういった形であれ業務を潤滑に回すためには、業務の分類をまずは行うことです。ECサイトの業務であれば、なかにはシステムで自動化できることもあるかもしれません。ASPの利用可能な機能をしっかりと確認してみることも重要です。
そのうえで増員する、外注するなどを考えるのであれば、どういった作業にどれくらいの工数がかかっているのかを測定することが重要です。
ECサイトの運営に関わる業務には概ね以下のような業務があるといわれています。
- 受発注管理
- 総合管理
- 情報登録
- マーケティング
- マーチャンダイジング
ここであげた業務に紐づいて、作業がそれぞれ発生してきます。それぞれの業務内容の分類を見ていきましょう。
売上の基本を作る受発注管理
注文に対して決済の状況を判断して発送のフローへ移す「受注管理業務」、梱包や発送、在庫の管理などの「流通業務」、在庫の管理や発注を行う「在庫管理業務」、顧客へのサポートを行う「顧客対応」などがこの項目に当てはまります。
出荷などの作業はまさに売るという行為であり、売上の根幹をなす作業とも言えます。しかし作業がパターン化しやすいため、ルーティンでこなせる項目も少なくありません。
サイトを正常に保つ総合管理
ECサイトのアクセス数を解析したり、購入したユーザーの数を把握したり割合を算出して、目標の設定や達成度を分析する「数値管理業務」、機能の追加やアップデート、システムの不具合を修正するなどの「システム運用業務」、外部と連携する機能を追加したり削除したりといった「外部連携業務」など、いわゆるIT的な業務を総合管理業務と呼びます。
ECサイトの運営業務というとこの項目の業務をイメージしやすいです。しかし、毎日この業務が発生するわけではありません。
ページを作る情報登録業務
商品に必要な情報を登録していく業務です。新たに販売する商品があれば、毎回行わなくてはいけません。
商品の名前や価格などの「商品基本情報登録業務」、商品の詳細やスペックなどの情報を作成してシステムに登録する「商品詳細登録業務」、写真の撮影やファイル管理、採寸などのデータ管理などECサイトにはなくてはならない「ささげ業務」などがこれに該当します。
写真撮影や文章制作など専門的なスキルが必要な側面も強くあり、手間がかかりますが、ルーティン的な部分も少なくありません。
集客や市場への最適化を計って売り込むマーケティング
マーケティングという言葉は幅広い意味がありますが、簡単に言ってしまえば、「どうやって商品を潤滑に売るか」ということを考えて実施する業務です。
例えば他の記事でも紹介しているコンテンツマーケティングやオムニチャネル化、ブランディングへの施策、インサイト広告やリスティング広告、SNSなどの運用、アフィリエイトの利用やSEO対策、イベントなどがこのマーケティングに含まれる業務になります。
マーケティングは流行が移ろいやすく手法が乱立する傾向にあります。そのため、変化を要求される場面も少なくありません。
ECサイトにとっては集客することが受注を増やして売上を伸ばすことにも直結してくるので、常にマーケティングを考えなければいけないという側面があります。
【参考】ECサイトはコンテンツマーケティングが集客力アップのカギ
商品について考えるマーチャンダイジング
ECサイトに関わらず、メーカー企業であれば事業の根幹をなす業務がマーチャンダイジングです。
商品企画や仕入れをユーザーのニーズを考えて行っていきます。在庫の適正化とも関連してきます。また、価格を決定するといった業務もこの項目に含まれます。プロダクトのデザインそのものやパッケージについてもこの項目に含まれます。
大胆な発想と綿密な計算が求められます。ECサイトの運営業務としては、ECに最適な商品の開発という視点も求められます。
社内で行うべき業務と外注しやすい業務を分類
こうした上にあげたような業務の全てが運営していくうえで必要な業務です。これらの業務がうまく回ることでECサイトは売上を上げ、利益を生み出す機能として力を発揮します。
こうした業務のなかでも、社内でしっかりと関わって行うべき業務と、アウトソーシングで合理化しやすく、リスクも低い業務とに分類されます。
受発注業務や商品情報管理業務は外注やアウトソーシングに向いている
アウトソーシングしやすいと一般的に言われている業務は「受発注業務」と「商品情報管理業務」です。
これらの作業は必ず発生しますが、積極的に新しいものに挑戦する必要も無く、一度基準を判断してしまうと後は手を動かすだけという状況になっていく業務です。
こうした業務は「バックエンド業務」という呼び名で分類されることもあります。しかし、実際のところ、この二つの領域の業務はアウトソーシングを利用するといっても傾向に違いがあります。
また「総合管理業務」もバックエンド業務に分類されます。この業務は常時発生はしません、しかし、専門性の高いことも多く、状況によっては専門家に依頼する場面も出てきます。
「受発注業務」は受注の数が増えてくるとそれに比例して作業時間や工数が大きくなってきます。ただし、梱包や発送に関わる業務は専門性も高くありません。そのため、アルバイトやパートなどで人員を募って対応するということも取り入れやすい範囲の業務と言えます。
顧客対応については、ユーザーと関わる部分も多く、サービスの体感温度に関わる部分もあります。しかし、問合せの数や方法などがある程度予測できるのであればにアウトソーシングすることも可能です。
疑問のあるユーザーに対して対応できないよりはサービスレベルが下がっても対応する必要のある作業です。対応を取りこぼすと評判に対してのダメージが大きいためです。お客様へのサポートを専門にするコールセンターなどの利用で電話やメールの対応を依頼する方法も考えられます。
「商品情報管理業務」では写真や文章作成などの業務については、内部で時間をかけるよりもカメラマンやライターを稼働出来る運営会社などの専門家に頼んだ方が時間を節約し、かつクオリティを担保できて効率的な可能性が高いです。またファイル管理などの面ではソフトウェアを導入することで対応する工数を減らせる可能性もあります。
いずれにしても外注などに頼った運営・運用を実施する場合は、しっかりと情報を共有出来る体制を整えることが大切です。
マーケティングはサイトや企業の方向性にも関わる
マーケティングの業務には、ECサイトそのものだけでなく商品や企業のイメージに関わる部分も少なくありません。これはマーチャンダイジングなども同様です。こうした業務は「フロント業務」と呼ばれます。
マーケティングはどの手法も集客に関わるためEC運営には欠かせません。しかし、トレンドは移ろいやすく、手法も様々で専門性が高くなることが課題になります。
企業の戦略に関わるため、事業者側でしっかりとコントロールしなければいけない部分と、専門家に頼ったほうが良いような場面も少なくありません。
しかし、こうした場面で難しいのは、事業者と専門業者のバランスが悪い関係ではうまく行かない可能性があるということです。実際にはバラバラに複数の専門業者に依頼するよりも、マーケティングやSEOのコンサルタントなども実施可能な運営会社から支援を受けながら2人3脚で作業を進めることができる関係を築いた方が結果的に効率的です。より深くそれぞれの専門性をシナジーさせることができるので、成功へのポイントは近くなります。
マーチャンダイジングは、そのサイトの方向性を決める部分でもありますが、どういった商品がそのECサイトに求められているかといった専門的な分析力も必要になってきます。
マーケティング、マーチャンダイジング、どちらの分野の業務もブランディングについても考慮しなければいけない分野です。あまりないこととは思いますが、ブランドのイメージ強化や拡散などにあまり興味のない企業であっても、ECサイトを運営していく以上は必ずブランディングに関わる部分が出てきます。
そのため、運営会社なども単純に手法を選ばず、集客できればいいと勝手に動くようなものではなく、事業者と運営会社が信頼関係を持って進めることがより重要です。何より、一過性のものではなく、継続的に効果を生み出せる方法を考えてサイト作りに貢献していかなければならない部分も少なくありません。
【参考】ECサイトはできる運営会社と組んでWin-Winを目指そう
適材適所で人材投入することが成功のカギをにぎっている
結局のところ、作業の手が足りないままの状況を放置してECの運営を続けていくことは機会の損失を生んでしまいます。そのため、適切に人材なり、専門力なりで補強することは重要です。
そのうえでまずは先に述べた作業の分類にしたがってそれぞれの工数の確認を行ってみて、具体的にどこが足りていないのか、その内容はアウトソーシングに向いているのかを冷静に判断してみてください。また、こうして分類してみることで、社内での割り振りなどで作業が効率化される部分もあるかもしれません。重複している業務を行うのは無駄でもありますから、業務のスリム化にもつながります。
こうしたことを考慮して、費用対効果を考えて効率的に人材を投入したり、専門企業の力を借りることがECサイトの収益アップに繋がります。
【参考】ECサイトの運営代行で利益の最大化をめざせるネットショップを作ろう
この場面でかいなができること
こうした部分で株式会社ができることは少なくありません。
ポテンシャルを最大化する運営協力から、マーケティングに強いサイト構築、またDXに向けた人材育成や、マーケティングツールの導入まで幅広くお手伝いできます。お困りの場合はぜひご相談ください。