ECサイトのレンタルサーバー選びで失敗しないための注意点

ECサイトをパッケージやオープンソースで構築するならサーバーを用意しなければECサイトとして機能しません。サーバーは簡単にいえばネットワークにつなげてWEBのプラットフォームやデータを保管し、その出し入れするための機能をもっています。

とはいえ費用だけを考えて適当に選択すると大変なことになる可能性もあります。ここではECサイトのレンタルサーバー選びという視点で解説します。

サーバーはユーザーが使うインフラ

サーバーは自社でECサイトを持つのなら、必ず必要なインフラです。直接的に選んだりすることがなかったとしても必要です。

ECサイトに関わるインフラについてはまず下記記事を確認してください。

【参考】ECサイトを始めるのに必要なインフラとは〜サーバーからPCまで

こちらの記事でもサーバーについて、かなりの字数を割いて解説していますが、そうなっているのも、それだけECサイトにとってサーバーが重要だからでもあります。

サーバーはサイトの事業者が用意するものですが、ユーザーがインターネット上でPCやスマートフォンなどを使ってそのサーバーにある情報を閲覧しにくる場所でもあるからです。

そのため、サーバーにトラブルが発生すると、最悪、ユーザーにも大きな迷惑をかけてしまいます。サイトが閲覧できないというトラブルならまだしも、それが顧客の個人情報に関わるようなものが流出するような事故であれば、ECサイトだけでなく、企業としての存続にも関わります。

そのため、サーバー選びは慎重に行わなければいけません。

もっとも、ASPカートを利用している場合は、その利用料にサーバーのレンタル利用料も含まれています。そのため、サーバーだけで選択する余地はありません。

ただし、本気でアクセスを集めて商品を販売したいと考えている場合は、しっかりとサーバーの強度について考慮しているASPを選択する必要があります。また、そういった点では、モール型ECへの出店はサーバーへわざわざ配慮する必要はありません。Amazonや楽天は強靭で早いサーバーを用意しています。

自社内で構築するオンプレミスはハードルが高い

サーバーを自前で構築して導入するオンプレミスという方法もあります。これは自らで自社サイト専用のサーバーを構築する方法です。これはASPとは逆にサーバーの管理も自ら行うことになります。サーバーの構築だけでなく、設定から、セキュリティのアップデートなどメンテナンスまでを実施できる必要があります。つまり、専門的にサーバーに関する技術者が必要な方法です。そのため、オンプレミスでは、「選択」という意味合いが全く異なってきます。

高いスペックで動作させるシステムや容量の増設も自前なので自由自在に実施することが可能です。ただし、どういった場所にどういったシステムを使って管理していくのかといったことはもはやハード部分も含めた専門家の領域です。ですので、ここではあまり字数を割いて詳しく解説することはしません。

ただし、規模が大きくなってきた結果、オンプレミスでサーバーを使うといったこともある可能性は覚えておくと良いでしょう。

また、これに近い状態としてハウジングという方法があります。サーバーの管理を通信事業者に依頼して行う方法です。こういった場合もある程度大規模なものになります。

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レンタルサーバー選びはココに注目

初期〜中期のECに置いて、サーバーについて考えるのであれば、やはりレンタルサーバーをどう選択するかということがテーマになってきます。レンタルサーバーの上位互換的にはクラウドサーバーもあります。

クラウドサーバーとしてはAmazonで提供するAWSなどのサービスがよく知られています。ここではもっと小規模なレンタルサーバーに注目して解説しますので、AWSについては以下の記事を参照してください。サーバーの容量も柔軟に変更でき、カスタマイズしやすいのも特徴です。

【参考】ECサイト初心者向け解説〜AWSはAmazonのクラウドサービス

レンタルサーバーでは、サーバー事業者と容量を決めて契約し、他のユーザーと共用でサーバーを利用します。共用といってもパーテーションで区切られているため、通常は同じサーバーで管理されていても出入りはできません。

仕様やサービスの価格帯も含めて多様です。多くの場合は月額で金額が決められています。

そのため、あまり知識のない状態で飛び込むと面倒なことになる可能性は小さくありません。簡単に料金だけで決めることは危険です。深く全てを理解する必要はありませんが、予習は必要ということです。

レンタルサーバー自体は、サーバーを複数のユーザーで供用することになります。そのため、設備とルールのしっかりしている事業者を選ばないといけません。

インターネットで閲覧できるための仕組み

それではウエブサーバーを簡単に理解してもらうために、その前段として、インターネットに接続したデバイスがインターネット上のページを見るための仕組みを簡単に説明します。

まず、デバイスはサーバーへ「このページの情報が欲しい」と依頼をします。それに対してサーバーが受け入れ、指示された情報をそのデバイスに送ります。その結果、PCやスマホ、タブレットなどのデバイスはホームページを見ることができるのです。

時にはサーバーがうまく動作できず、ページの表示がされないこともあります。時々「500 server error」などの文言が表示され、サイトが見れない状態になったことは誰しもあるでしょう。サイトが表示されない時のこうした文章はなぜ表示できなかったかを示しています。サーバーが処理仕切れなかったり、ダウンしてしまうことでサイトが見れないこともあります。

よく炎上した企業や芸能人のサイトはアクセスが集中しすぎてダウンすることがあります。こうしたサーバーダウンはネガティブなことだけでなく、何か急激な露出があったり、バズって注目を集めても起こります。ECサイトでは、最近ではシャープのサイトでマスク販売を告知したところ、アクセスできない状態になりました。

【参考】ECサイトのアクセス集中対策をシャープの事例から考える

結局、どういったことであったとしてもサーバーにトラブルがあるとサイトは機能できなくなります。そのため、レンタルサーバーを選択する場合はどういったトラブルが起こりやすく、どういった対処がされているかを考えなければいけません。そのため、以下のような点にまず注目します。

サーバーは安定して稼働しているかは目安の一つに

品質を重視しているレンタルサーバー事業者では稼働率を提示しています。この稼働率が100%に近いほど、安定度が高いということになります。残念ながら、現状で100%にすることは技術的にできません。サーバー自体はメンテナンスやハードの入れ替えが必要だからです。そのため数秒程度ですが稼働できない時間が出てしまうことは避けられません。

その上で、安定性を売りにしているレンタルサーバーであれば、この稼働率を呈示しています。もしECサイトのサーバーが稼働率が低くなってくると、サイト側は販売機会を、ユーザーは購入機会を失います。そのため、稼働率はできるだけ高いサーバーを選ぶべきです。

また同時接続数も重要です。レンタルサーバーは、もし一部のページやサイトにアクセスが集中してダウンしてしまうと、システムに影響があります。しっかりと管理しているサーバーであれば同時アクセス数に制限を設けて、サーバー全体をパンクしないようにしています。

この同時接続数が小さいサイトはやはり接続できないユーザーが出てきてしまいます。同時接続数は大きいほどいいです。

こうした安定に関わる数値はSLA(サービス品質保証制度)で保証しているレンタル事業者も少なくありません。そのため、まずSLAのある事業者で選別し、かつその内容も確認して吟味すると効率的です。

設備の強さ

レンタルサーバーでは、特定のユーザーがレンタルしているサーバーへのアクセス数だけでなく、データのやりとりをする量が多いことで、他のレンタルユーザーへ影響を与えないために、データの転送量に制限を設けています。一度のデータ転送量や特定期間のデータ転送量を制限することで、サーバー自体の処理能力がパンクしてしまうことを避けています。つまり、この処置は安全装置のようなものといえます。

もし設備が堅牢でハイスペックであれば、こうした容量の制限は緩くなります。制限をそれほど厳しくかけなくても動作が問題ないからです。

ECサイトでは商品ページに画像を伴いますので、もしこの制限が厳しい場合は、多くのセッションが集中した場合に同時接続制限を下回っていても、データ転送量の制限でリミットがかかり、アクセスできない状態になる可能性があります。

このようなことから、サーバーの稼働の安定性について、この「ネットワークの強靭さ」についても確認しておくと良いでしょう。

バックアップの充実度

バックアップ機能はサーバーの保険のようなものです。データを消すことは一瞬でできます。それは誤りであってもです。また、誤った作業ではなく、サーバーの障害でデータが吹き飛んでしまうということも起こりえます。

そうした場合にバックアップをサービスとして持っているレンタルサーバーであれば安心度は上がります。ECサイトの場合は、多くのデータを扱いますので、バックアップ機能は必須と考えた方が良いでしょう。その上でどういったバックアップ機能をサービスとして提供しているかを比較の対象にするのがいいでしょう。

また、サポート体制についても、運営していく環境に合わせて考慮してください。もし、サーバーに関するエンジニアがいるというのであれば、それほどサポートの出番はありません。もし、そうでないのなら、ある程度サポートについてもどこまでサポートしてくれるのかを確認しておきましょう。

また、マニュアルに記載されている意味を把握するにはある程度知識を要求する場合もあります。マニュアルの充実自体は歓迎すべきことですが、人的なリソースについても考えておく必要はあります。

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遅いはSEO的にもマイナス、落ちるはビジネス機会の損失

具体的にサーバーにトラブルがあったり、機能的に十分ではない場合、実際に大きくECサイト運営の足を引っ張るマイナス要因として働く場合があります。

一つはSEOについてです。SEOは「検索エンジン最適化」を意味します。検索エンジンで検索した場合に、関連の強いワードでの検索結果順位を上位に押し上げていく施策のことです。サーバーの状況はSEOに影響を与える可能性があります。

Googleの検索アルゴリズムではサーバーの応答速度を評価に加えています。サーバーの応答速度はGoogleのクローラーが測定します。このクローラーは一般的なデバイスと同じ程度の読み込み速度で判定するとGoogleはオフィシャルに発言しています。もし応答速度が遅い場合は検索順位表示のマイナス項目となります。応答速度はサイト閲覧者にとってユーザビリティに影響すると判断しているからです。

これは2021年の6月ごろから随時本格的に導入されていきます。

【参考】【SEO】ページエクスペリエンスランキングシグナルをおさらいしておこう〜6月の本格導入に向けて

実際、サイトの表示に時間のかかるページはそれだけで、離脱の対象になります。今や、サイトの読み込み速度の高速化はSEO的な視点だけでなく、サイトを見てもらおうと考えるのであれば考慮すべき項目です。

速度の面ではサイトの構築時の構造と共にサーバーの性能も関わってきます。もし本気でECサイトに取り組むというのあれば、速度は絶対に外せない項目です。

また、もしサーバーがダウンしてしまえば、使い勝手以前の問題です。サーバーがダウンしてしまって閲覧ができない状態は、ECサイトにとっては店舗の設備トラブルで臨時休業のような状態です。ECのメリットは「いつでも、どこでも」ですが、その前提が根本的に崩れてしまいます。また、長期にわたり表示されない状態が続くと、検索結果の順位は著しく下げられてしまうでしょう。

そのため、安定して高速で動作できるサーバーを選択するメリットは非常に高いです。また、サーバー事業者としては、そうした点へ対応していくためには設備への投資が必要になるのであまり極端に安価でサービスも提供できません。

そうしたあたりも考慮して、しっかりとサーバーを選んで安定したECサイト運営を行ってください。また、オープンソースのEC-Cubeやパッケージ、CMSのインストールに問題のないサーバーを選ぶという大前提は必ず守りましょう。ですので選択する前に必ず仕様を確認してください。

もしおすすめを選ぶとしたらこの二社

そのうえでおすすめを選ぶとするならば、「Xserver」か、「ロリポップ」のレンタルサーバーが初期費用の面でもとりあえずはおすすめです。もっと大規模になってくると他の選択肢もありますが、この二つのサービスはある程度の容量拡大にも対応します。

Xserverは主にサーバーレンタルを専門にしています。EC-CubeやWordpressの利用でも人気があります。ロリポップはカラーミーショップ を運営しているGMOが展開するサーバーレンタルサービスです。どちらもわかりやすく、それなりにサポートも充実しています。料金についてはもっと安い事業者もいますが、バランスを考えると、この二社を推薦します。

とはいえ、ASPでECサイトを構築しようという場合にはこの「サーバー選び」という作業も発生しません。もし、それ以外の方法を選ぶという場合はそれなりに構築の知識も備えて挑むという場面ではないかと思います。しっかりと技術者と相談しながら取り組んでください。

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