ECサイトはアパレルのネットショップから事例を学んで豊富なトレンドを取り入れよう
2020.06.30

ECサイトの構築や運営の参考に他のECサイトを見るということも多くあることと思います。その中でもアパレル系のECサイトは参考になる箇所が少なくありません。
ユニクロなど大手のアパレルメーカーはEC事業に積極的な企業も少なくありません。ITサービスを専門に提供する企業なみに最新のウェブマーケティング手法や技術を取入れていたりもします。ここではモール系以外でも展開するアパレル関連の自社ECサイトから参考にすべき点を解説します。
CONTENS
身につけるものを売る難しさを乗り越えて来たアパレルEC
インターネットでのECは最初、衣食住の主役ではないものから発展してきました。今でこそ、食品は当たり前のようにインターネットで販売されるようになりましたが、2000年代の始めころはそこまで一般的ではなく、在庫管理のしやすい、返品リスクも少ない商品から発展していきました。
その中でアパレルはネット以外の通販などでは、以前から積極的に行われている部分もありました。たとえば雑誌やテレビの通販などからです。
しかしインターネットでは、フリマなどではやり取りされることもありましたが、本格的にECに移行するのには比較的時間がかかっているカテゴリーの商品だったといえます。
衣服は誰でも必要なものですが、実際に身につけるものは、サイズ感や質感が直接的に着心地に影響します。オンラインショップで購入した服が返品不可であったり、交換するのに手間がかかるとなると購入者にとってもとても購入に振り切るリスクが高くなかなか積極的になれません。
手軽であることも求められるBtoCでのECではそのままではアパレル系に対しては若干ハードルが高く存在していたといえます。
いかに手軽であるかを演出する
アパレル系のECサイトはそうした最初のハードルを乗り越えて発展途上にあります。実際にはECを事業として取入れている企業はアパレル全体でみてみるとまだまだ多くありません。小売りとしてみた場合はまだまだ実際の店舗が優先されている傾向にあり、ECでの市場にシフトし始めた状況です。
しかし、ユニクロやGAPなど世界規模でのビジネスを展開するカジュアルブランドを始め、ある程度の規模のアパレルブランドは独自性を出しながら、ECを利用した戦略を次々と展開してビジネスの中枢に組み込んで来ています。今後も多数のブランドがEC事業に対して積極性を高めていくと考えられます。
またサイト自体のデザインも企業のブランドイメージを全面に意識しながら洗練を重ねています。そうした見た目だけではなく、様々な機能を盛込んでいるサイトもあります。このような努力の積み重ねの結果、ファッションブランドの中でのEC事業の重要性は高くなってきています。今後、このジャンルはECでの市場規模も大きくなっていくと予想されています。
この拡大の背景にはもちろん、インターネットの普及による部分もあります。しかし、それだけではなくアパレルEC自体のそれぞれの努力の結果とも言えるでしょう。
特徴としては
- ブランディングを意識したデザイン性の高さ
- 受注画面のシンプルなわかりやすさ
- 行動分析に基づいたレコメンドなどサイト自体の買い物しやすさ
- 先端のテクノロジーの導入
などが見られます。
ネットでのセレクトショップ的なECサイトであっても、商品イメージと客層に合わせたデザインなどが多くの場合、考慮されています。またブランディングを強化するためのコンテンツ・マーケティングも積極的です。イメージを売るという側面も多いことから、ことにBtoCでのECサイト運営者には参考になることが少なくありません。
トレンドを取入れるスピード感はテクノロジーに対しても早い
アパレルブランドは先取りでトレンドを決定して、発表していく業界です。よく「来年の流行はこの色!」なんてニュースをみなさんも見たことがあるのではないでようか。本来、流行はその時になってみないとわからないはずなので、少し無茶苦茶に感じます。
ですが、積極的に発信することでムードを作っていくことの重要性をアパレル業界は理解しており、それを実践しているといえます。また、ファッションの流行は、他のカルチャーにも影響を与え、その波及力は無視できません。
一方で、ファッション業界はあらゆるトレンドに敏感です。つねに新しいものを求めている側面もあります。一見関係のない科学技術も例外ではなく、新しい素材として利用出来るものがあれば、積極的に利用してみようというブランドもあります。
もちろん、伝統を意識しているアパレルメーカーもありますが、そのうえでも洗練された新鮮さは大事にされることがほとんどです。
こうした姿勢はITの技術や考え方についても同様のことがいえます。
オムニチャネルやO2Oを取入れるアパレルメーカー
オムニチャネルは、ネットショップだけでEC事業を展開するのではなく、実店舗、SNSなど、ブランドとユーザーとの繋がりが発生する場所すべてを結びつけて、販売に結びつける考え方です。
こうした考え方はアパレルECだけのものではありませんが、ユニクロやマルイ、ABCマートなどが積極的に取入れて、ユーザーフレンドリィなサービスとして展開し、ブランドとユーザーの親密度をあげることに一役買っています。
O2Oは「Online to Offline」の略称です。これはオンラインで呼びかけてオフライン、つまり実店舗に誘導するという仕組みです。SNSや自社ECサイト、メールマガジンなどでつながりのあるユーザーに対して、セールやイベントなどの情報を呼びかけることで来店を促すという考え方です。
以前の ECでは、「ECサイトの売上が、実店舗の売上を圧迫するのではないか」という考え方が多く、EC運営に積極的ではなかったり、実店舗と協力的ではないことも多くありました。これは、そうしたところに境目を設けず、ブランドとしてインターネットを利用して近づき、ユーザーの満足度を向上させつつ、よりファンを増やして売上を全体で最大化していこうという取組みです。
体験をECで販売する
「これからは体験を売る時代」という言葉はマーケティングの昨今の流行です。モノに溢れている現状で、多くの人はそこまで積極的に欲しいものはなくなってきており、所有するよりも体験に対して、出費する傾向になっていくという考え方です。
この考え方は飲食店などのサービス業に向けてよく言われる言葉ですが、アパレル業界としてはこれをECの物販の中に応用している企業が増えてきました。
例えば実際に試着ができ、気に入らない場合は気軽に無料で返品できるシステムがその代表例です。ECを通して商品を体験してもらうことでユーザーエクスペリエンス(UX)を高めています。
また、ZOZOTOWNが展開したZOZOスーツなどもインパクトがありました。残念ながらZOZOスーツはあまりうまくいっているとはいえる現状ではありませんが、ブランディングとしてネット通販のイメージを積極的に変えようとしている姿勢が窺えます。
ZOZOはITをベースにしたアパレル系ECです。そのため、テクノロジーに対して積極的で、かつアパレルの慣習を超えた部分にチャレンジすることも少なくありません。
他にもチャットなどを利用したコンシェルジュサービスをオンラインショップに付けるスーツ販売大手の青山の例などもあります。
どの企業もECに積極的なアパレルは、衣食住という誰もが関わる分野、つまり特定のカテゴリーにいない人に、利便性を感じてもらいつつ、新たな体験を通して印象づけるということを積極的に行っている印象があります。
最新のEC的マーケティングを実践するアパレル業界
独自にECサイトを運営するアパレルメーカーは、集客に対しても積極的です。リスティング広告やSNS広告など、ウェブ広告の積極活用はもちろん、コンテンツマーケティングに取組むアパレルブランドも少なくありません。
方向性としてもいくつかあります。王道はブログをサイト内で展開して、ユーザーとの距離感を埋めつつ、ブランドに対する親近感を高めたり、イメージをより強く印象づけるということは積極的に行われています。
オウンドメディアを立ち上げて、ユーザーをゆるく引っ張り込むMikiHouseやワコールなどが、検索での流入を伸ばすマーケティングの施策で成果をあげていたりします。
こうした企業のメディアは必ずしも自社製品だけではなく、フラットな情報を提供することで、未来の顧客を生み出す方法を実践しています。
またSNSによるプロモーションも積極的に行われています。ユニクロがおこなったSNSで投稿すると割引するというキャンペーンは、今やSNSを利用したプロモーションイベントの常套手段です。またInstagramを有効活用するブランドも多くあります。より具体的な利用シチュエーションを提起しつつ、イメージを提案できるツールとしてその存在感は小さくありません。実際にあまり規模の大きくないアパレルブランドでも、大きな成果を生み出すのに一役かっています。
アパレルブランドは以前から業種としてプロモーションに積極的です。こうしたことは以前はマスメディアも利用して行われ、主に雑誌がプロモーションの中心となっていました。現在では少しづつWEBに写って来ており、どういった戦略をとっているのか、参考にしやすくなってきています。
テクノロジーは実践できなくてもブランディングの姿勢は取入れられる
アパレルブランドはもっともデザインなどの効果を理解している業界といえます。この場合、見た目だけではなく、構造やシステムも含まれますが、規模の大きな企業ほどやることが大胆で積極的です。
フルスクラッチによる構築を行い内製化を進める企業もあり、サイトの機能や規模的な部分では真似できないことも多くあります。オムニチャネルに向けたシステム構築にIT技術をガンガン盛込んで実店舗のシステムと連携するなどは、なかなか真似できません。フルスクラッチについてどうしても気になる方は、以下の参考サイトを読んでみてください。
【参考】ECサイトをフルスクラッチで構築すべき理由は多くはない
しかし、ECを実店舗とわけて考えずに最大限活かしていく姿勢や、ブランディングへの取組みは参考になります。ただサイトを管理するのではなく、どうやって伸ばしていくかという課題に対して積極的に取り組んでいます。
ブランディング自体はそれぞれの企業の強みなどを活かして、ファンを増やしていく取組みなので、一律に同じ方向性をとることはできません。しかし、どういったことがブランディングにつながっているのかを考えるという点では非常に参考になることがたくさんあります。
また、最終的に購入に結びつけるために、どういった取組みがなされているのか、サイトの作りだけでなく、運営のシステムに対する哲学なども参考になるかもしれません。
インターネットが普及したことで、さまざまなことが見えるようになってきました。実際に購入しないまでもアパレルメーカーのECサイトを閲覧することは可能です。時間のある時に一度は見てみることをおすすめします。
またブランディングの重要性については以下の記事もぜひ参考にしてください。
ノウハウを集積することでECの大きな力になる
いろいろと理解していくために確実なのはトライ&エラーを重ねていくことです。もし、未経験の担当者であっても業務の中で学んだことは必ず大きな糧になるでしょう。
しかし、現実的には、実際に一つの企業内でECサイトを担当したスタッフがトライ&エラーを重ねることは時間もかかり、リスクもあります。そうした場面ではやはり経験を積んできた専門家の助けが力になります。
弊社もサイトの構築から運営の支援まで、幅広い経験を積んできました。その中で、それぞれの最適解に近い方法を提示することができます。一緒に私たちと成功というゴールを目指しましょう。