ECサイトを構築する費用の考え方を解説〜相場は目指す方向で変化する

2020.06.15

ECサイトを構築するための費用の相場はどれくらいなのか。その発注を行う担当者であればどうしても知りたくなるものです。

ECサイトを出店するにあたって予算を決済するためにも、一般的な相場をどうにか知っておくことはプラスになります。それだけでなく、計画する際の予算組みなどでざっと考えておかなければならないという場面もあるかもしれません。

しかし、ECサイトの構築方法の選び方によって、実際にはその相場は大きく変わってきます。そのため、ゼロベースで、もしこれについて回答するなら「一定ではない」と言わざるを得ません。

ここでは知識として「なぜ構築に関わる費用が一定ではなのか」、また「その価格が適正なのか見極めるための良い方法はあるのか」を解説していきます。

構築費用の相場感は考え方でガラリと変わる

以前は「構築に100万」といったサイトも少なくありませんでした。しかし、最近ではかなり状況が違います。無料で利用できるASPカートが普及してきているからです。

そのため「費用をかけなくても作れるオンラインショップもある」という状況が生まれています。テンプレートが利用でき、基本的にそんなに構築の手間もありません。これも当然、外注すれば手作業で技術者が対応するため、金額は高くなります。それでもちょっとしたことにでも目玉が飛び出るような金額が付くというような状況はなくなりました。

その一方で、初期の費用が数千万にもおよぶフルオーダーによるフルスクラッチなどの構築方法もいまだに健在です。

構築の方法などについては以下の記事に詳しく解説しています。

【参考】ECサイトの構築の基本とは〜売れるサイト作りの方法を解説

無料ASPからフルスクラッチまでを比較した場合、この金額の距離感は開きすぎています。これから自社のECサイト導入やリニューアルを担当するという人にとっては、どう標準を絞って、構築を担当する会社や手法を選び、金額を確定させればいいのか、何がなんだかわからず頭の痛いところではないでしょうか。

ですのでまず前提として「構築に関わる金額は選択する構築手段で大きく変わってくる」ということを認識しておく必要があります。

逆にいえば、作りたいと要望するECサイトの機能において、もしその構築手段を選択する決め手がないというのであれば、その時、初めて相場を把握するという行動に移ることです。機能として決め手がないので「金額で比較して検討する」という場面になるということがいえます。

いろいろなところで繰り返し言われていますが、構築についての金額は以下の通りで、下へ行くほど、基本的に予算が潤沢に必要になってきます。

無料ASP

有料ASP

パッケージ・クラウドEC

フルスクラッチ

一般的な事例としては、このような順番で必要な金額が増えていきます。これはそのままネットショップの事業規模の大きさの順番を表しているともいえます。

実際のところは料金、というか費用としてみれば「無料ASPが安価」「フルスクラッチが高額」というところは変わりません。

もっとも、テンプレートで制作できるサイトとフルオーダーを比較しても意味がないともいえます。

有料ASPやパッケージ、クラウドECはやり方次第のところも出てきます。有料ASP自体にも利用金額にそれぞれのベンダーで開きがあります。また、クラウドECとの境目は曖昧になりつつあります。

そのため、このあたりの構築方法について、ただ単純に順番をつけるのは非常に困難になってきています。教科書的なものではなく、参考という程度にして「こういった傾向になる例が多い」という程度に押さえておく必要があるでしょう。

大きくまとめると、こうした部分で現れる金額の差は、結局のところ、公開できるようにするまでに、どれだけ手をかけなければいけないのかというところで決まります。

そのため、逆にいえば無料ASPが安価なのはいろんなことができる余地が少ないから金額がかからないといえます。無料のASPであっても、専門的な技術を投入するために、多数の技術者の手を借りることになれば金額は上がっていくことになります。例えば無料ASPの代表でもあるBASEはかなりのカスタマイズができるようになってきました。しかし、カスタマイズにかかる人的リソースを削れるわけではありません。

適切な手法を選択することは途中の費用を抑えることにもなるので、単純にASPの月額使用料金に関してのみ考えるのは少し浅はかと言えるかもしれません。

フルスクラッチについても同様で、やらなければならないことが多くあり、それだけ人手と時間、そして技術が必要なECサイトを作る理由があるから選択しているということでもあります。

これらの構築方法については以下の記事も参考にしてみてください。

【参考】ECサイトの立ち上げに関わる準備と流れ、その後を確認しよう

ECサイトの構築費用は大きく分けると「システム」と「デザイン」の2つの項目に関連する金額に分類することができます。この二つの項目について、それぞれどれだけ手をかける必要があるかで発生する金額が決まります。

つまり、こうしたポイントについては標準のままであれば、金額は発生しません。それぞれの項目に凝って、特徴をもたせようとすることで変わってきます。

「特殊な造形を加える」「機能を加える」というようなことを考え、カスタマイズする内容が多くなることに比例して、それだけ金額が高くなっていくということです。また、構築するASPや手法によってその「標準」が変わってくるということも知っておくと良いでしょう。

構築費用にばらつきが出てくる有料ASPでは、低い初期費用でも利用開始までもっていくことが可能です。しかし、可能な範囲でカスタムしたいということになれば、それだけ、作業が必要になる、それにともなって金額も発生するというわけです。

逆にできないことをさせようとすると金額が嵩んでしまうということもあります。例えばECパッケージは数十万から数百万円のライセンス使用料が発生します。これはASPの契約金額と比較すると高いほうですが、簡単に使える機能がパッケージに含まれるなら、その機能がないASPを利用するよりも安価で済む可能性があります。一概に金額で見るというよりも中身で見る必要があるのはこんなところにも隠されています。

オープンソースはシステム利用に費用発生ほぼなし

逆にパッケージではオープンソースと呼ばれる無料で利用できるプログラムがあります。それをそのまま利用し独自に構築できる知識があるのであれば、ほとんど初期の取得に関わる費用はかかりません。有料のプラグインなどを利用するのであればその分の料金は発生しますが、システムに関わる費用はグッと抑えることができます。

そのため、実質的な作業時間をコストに参入しなければ、サーバーのレンタル費用だけで済みます。有料ASP以下の金額で初期構築を完了させることも可能です。

ただし、安全性とデザインについては考慮しておくべきです。もし、パッケージの内容を素のままで公開した場合は、実店舗でいえば柱と床だけで壁のないお店をオープンさせるような状態になっているかもしれません。

いくらシンプルでよいと考えていたとしても、デザインに対する配慮は必要です。もちろんデザインというものは背景だけを考えることではありません。ボタンやリンクの配置などを考えることもその範疇に含まれます。何もデザインされていないサイトは非常に使いづらい可能性があります。

また、公開されているプログラムを使うことになるため安全性の面では保証されていません。常時張り付いてメンテナンスできる技術力が必要になります。

ASPの金額要素

ASPの場合、基本的にシステムを構築する必要はありません。そのASPのベンダー、つまり事業者が提供するものを使うことになるからです。そのため、そうした費用がかかったとしても多くの工数は必要ないかもしれません。

パッケージやクラウドECについてはシステムについても設計し、制作していく過程があるため、その分は当然費用に跳ね返ってきます。

たとえば、買い物カートの機能は必須です。配送について管理するコントロールパネルがないとサイトの見た目は問題なくとも、作業は大きな混乱をきたすことになるでしょう。プログラム的な要素がなければ、オンラインショップとしてのメリットをいかせません。

また、これらはサポートの充実ぶりやセキュリティへの対策などにも事業者ごとに差が出てきます。

ASPは一般的に自由度が低いといわれます。しかし、デザインについてはASPでも自由度が高いサービスを提供している事業者も増えてきました。

そのため、デザインの構築だけみると、様々なデザインを施した結果、パッケージに近い金額が発生する可能性もあります。月額数千円のASPと数万かかるASPを同列で語ることも難しくなってきました。また同じベンダー内でもサービスを充実させれば金額は変わります。

カートASPの代表であるカラーミーショップ は1000円程度のプランがありますが、もっと大規模なサイト構築に対応するコースもあります。そのカラーミーショップ も無料のプランが追加されることになっています。ASPを含めたECの構築事情はどんどん変わってきているのです。

いずれにせよ、結局のところ、手を入れれば金額はかさむということに変わりはありません。

一方でASPの月額で発生する利用料と、初期に取得して更新に費用がかからないECパッケージでも、完全なリニューアルまでに支払う利用料などをトータルして比較する必要があります。そのあたりを考えると実は金額の差が極端に離れているわけではないということになるケースもあるでしょう。

一定の相場感を求めるのは難しい

このように、ECサイトについて一定の相場感を求めるのは非常に困難です。

もし実現したい必須の機能が、ASPの中ですでに完成されている機能として提供されているのであれば、より安価な選択肢の中で解決するかもしれません。

しかし、そうでなければ、そうした部分に標準を合わせた結果、それなりの開発予算が必要になることも考えられます。いろいろなパターンがあるので、定型の中に嵌めるのではなく、それぞれ別個の問題として考えることが重要です。

結果的に安く仕上げたとして、その後の運用に差し支えたり、集客や客単価をあげるための機能を削った結果、売上的に伸ばしにくいECサイトになっている可能性さえあります。

最終的に自社のECサイトより、楽天やAmazonなどのモールで出品していれば十分だったという状況であれば、果たしてその構築は正解だったのか疑問が残ることになるでしょう。

こう考えるとECサイト構築全体の中で、大きな相場感を求めるのは少しナンセンスな状況といえます。

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見積は金額だけでなく、提案の中身もしっかり確認

もし相場感を知りたいというのであれば、実際に実現したいECサイトの要件をまずはまとめて見ることです。その後にWEB制作会社を複数選んで、実際に見積をお願いしてみるのが現実的です。見積もりを依頼する場合は販売予定のアイテム数や必要な機能をまとめて提示する必要があります。

制作会社によっては持っているリソースや得意不得意に違いがあります。例えばASPとパッケージで提案が分かれれば、それによって大きく金額が異なってくるでしょう。

実際にこうした場合、押さえておきたいのは、その予算となる金額で実現される中身を確認することです。なぜそうした構築方法や機能を利用するのか、その要旨をしっかりと受け止めることが重要です。もちろん、発注可能な予算内であるかということは大前提になります。

そういったこととは別として、その上で

  • 提示した要件は実現されているか
  • 拡張性など、将来的なことや管理への考え方
  • 必要以上にオーバースペックではないか

こういったことについて、どういった提案のうえで出てきた見積もりなのかを説明してもらうことが、業者を選定していくポイントではないかと考えます。

ます、当然のことといえますが、初期の時点での要求は最低限、実現されている必要があります。そのベーシックな部分についてどの程度、費用発生を見込んでいるのかをまずは確認してみてください。

そのうえで、公開後の運営・運用や、売上をあげていくためのオプション的な機能について考えられているのか、といったことについて確認してみましょう。場合によっては、ECサイトの耐用年数や作り変えを視野に入れてばっさりと切り捨ててあることも考えられます。

実際に“ECサイトの耐用年数は3〜5年”と言われています。初期費用を少なく押さえて、成長させつつ、大規模に改修するという考え方もなしではありません。また、その場合は移行作業も発生するので、もしそういった考え方であればその場合の着地点などもそこで確認できると良いでしょう。

逆に必要以上にオーバースペックな提案ではないかということは、判断が難しいところです。こうしたことはあまり質の良くない制作会社をふるい落とす判断基準の一つです。オプション的に盛込んでいる見積もりがわかりやすく提示されているのであれば、ある意味では良心的ですが、合計にガツっと組み込まれてわかりづらいような見積もり金額になっている場合は非常に不親切です。

結局のところ、そうした不誠実な対応をする制作会社との関係は長く続けてもあまり意味がありません。

ECサイトは構築以上に戦略的に運営を続けることが重要です。そうした中で不誠実な対応をする企業との付き合いはできる限り避けるべきです。提示されている金額以上に注意することが重要です。結局のところトータルの出費に影響する可能性もあります。

ただし、先にも書いているとおり、もしプラスで機能が盛込まれた場合も、「このような機能を盛り込むために〜いくらかかる」とわかるように表示されているなど、明快に金額を提示しているのであればその限りではありません。見積もり上で追加されている内容はどういった機能で、そこにはどんなメリットがあり、デメリットはどういったことなのかを先方に詳しく確認してみてください。そうした部分にさまざまな経験を踏まえた専門家としてのアイディアが込められている可能性があるからです。

また、機能などについては、制作会社のほうが実際に触れ合って実状をよく知っている可能性もあります。そのうえでそれぞれの企業にとって最適な方法を提案してきているかということが重要です。

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相場を知るより、見積もりを複数とることが大事

ECサイトの制作費について、一般的な相場を知るということは難しいことについては、ご理解いただけたかと思います。そのため、実際に複数の見積もりをとってみて、その内容について説明してもらうことが重要です。

実際に、もし自社でできる範囲のことで済めば必要な初期予算は少なく済みます。BASEやSTORE.jpなどに代表される無料ASPであれば外注して行うようなことは基本的にはありません。単純に商品を販売する場をインターネット上に持ちたいというだけであれば、確かにそれで十分といえます。

しかし、ある程度の拡大を見込むということであれば、無料ASPではどうしても足りない部分が出てきます。また、考えなければ行けないことは、機能や外観だけでなく、集客できるサイトづくりや運営・運用に関するスムーズさなども重要になってきます。

安価で制作されても集客に問題を抱え、コンバージョン率をあげるための対策ができずに売上が上がらなければ、いくら低い金額でも負債になります。逆にある程度、予算を超えてもしっかりと売上としてその金額を回収出来れば、それだけの費用対効果があったことになります。

まずは具体的にどういったことに関わって発生している金額なのか、見積もりを吟味してみるようにしましょう。場合によってはこちらが要求した方法に対し、複数の方法で同じゴールにたどり着ける可能性もあります。そのうえで、金額だけでなく、制作する中身の部分や提案などを聴き、その積算の根拠を求めることが、予算面で考えるECサイトの成功への道ともいえます。

このように単純に価格だけで見ていては見落としてしまうことも多くあります。結局のところ売上の大小はやってみなければわからないところもあります。そのため、納得出来るプランを選択することこそが重要です。

そのうえで、ECサイトに対して、売上をあげるだけの機能しかみないのであれば、なかなか予算を投じることも難しくなるかもしれません。合わせてブランディングのできるECサイトを構築していくという視点で考えてみることで、売上以外にもECサイトに機能があるという視点も重要です。

また、初期の構築ばかりに目が行きがちですが、運営、運用にはそれなりに予算が必要です。初期の構築に手間のかからない手法を選択するほど、運営・運用での費用が増加する傾向は強くなります。そうして考えると、運営・運用についてもノウハウを持ちサポートができる制作会社を選ぶことも重要です。

例えば、複数のASP構築を経験しているWEB制作会社なら、それぞれのASPの特徴を把握しています。そのため、見積もりで提案を受ける時点で、「やっぱりこのASPじゃなかった、、、」というリスクが減らせる可能性が高くなります。

また構築だけでなく運営についても知っているほうが、発注するメリットは高くなります。状況によっては、運営のサポートも依頼できる可能性があるからです。

いずれにしてもあくまで構築は入り口に過ぎません。その後のことも考えて制作を任せることのできるパートナーを選択することです。

運営については以下の記事も参考にしてみてください。

【参考】ECサイトの作り方は運営も意識しよう

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 予算や構築の相場で悩むあなたにオススメのASPはこれ

初期の構築では、どうしても要件がまとまらず方向性を見出すことが難しくなることも少なくありません。その結果、相場以上の発注額を積んでしまうといったことも起きてしまいます。

そうした状況を避けるには、どういった手法で始めるかを決めてしまうことも一つの方法ですが、その構築方法も複数あって選べないという場合も少なくありません。

かいなでは、カートASPでは足りない、さらにECを豊かにしたいというケースのためにはECパッケージとして「tri-co」を開発し、ライセンスの販売と構築や運営のサポートを実施しています。tri-coは買う人、売る人、そして運営する人の3つの立場に立って、関わる人すべてが作り出していくECプラットフォームというコンセプトを持っています。

ECパッケージに興味があるという方、乗り換えで悩んでいるという方は専用サイトを用意していますのでぜひご確認ください。

【参考】tri-co

また、弊社で推奨できるASPのひとつShopifyを中心に他ASPとのポイントを資料にまとめました。Shopifyはカナダ発で今注目のECプラットフォームです。

また、Shopifyを必ずしも選択する必要はありませんが、この資料を読んでいただくことで開発会社という視点だけでなく実際に運営も行う場合にどういったポイントでASPを選んでいるのかを知ってもらえると思います。

また、こうした情報をお持ちいただくことで将来的な発注時のサポートになれば幸いです。

無料ですのでこの機会にぜひお読みください。

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